- 休みが少なく心身ともに疲れきっている
- 連休がなく疲れが取れない
- シフトの都合で予定が立てられない
- 休日出勤を求められストレスがたまる
このような悩みを抱えている看護師は多いです。適切な休息は、質の高い医療サービスを提供するために欠かせません。この記事では、看護師の休みの実態や休みにくい理由、休みが多い職場、おすすめの過ごし方などについて解説します。
休日の充実度はQOLに直結すると言っても過言ではありません。
当たり前だと思っていた自分の休みが常識から外れている可能性もあります。
この記事を読めば、世間の一般的な看護師の休みの実態が分かり、自分の勤務環境を見直すヒントが得られます。看護師の休暇について理解を深め、よりよい職場環境のヒントを見つけましょう。
看護師の休みの実態
看護師の休みは、一般的な職業と比べるとやや厳しい状況なのが実態です。年間休日数や有給休暇取得率、勤務形態による違いなど、具体的な数字を見ていきましょう。
- 看護師の年間休日数の平均
- 看護師の有給休暇取得率
看護師の年間休日数の平均
看護師の年間休日数は平均116.6日(土日祝日含む)です。休日数は病院や施設の規模によって異なります。大規模病院では120日程度、中小規模病院では100日程度が一般的です。休日の内訳は以下のとおりです。
- 週休2日
- 祝日
- 年末年始休暇
- 夏季休暇
- リフレッシュ休暇
夜勤や休日出勤の代休も含まれるため、実際の休暇日数はさらに減る可能性があります。近年は4週8休制(月9日休み)を採用する病院も増えており、休日数自体は増加しています。
看護師の有給休暇取得率
看護師の有給休暇の取得率は、全国平均で約67.7%です。しかし、病院の規模や勤務部署によって大きな差があります。大規模病院では比較的高い取得率ですが、夜勤や休日勤務が多い部署の取得率は低いです。
実は、数字上は高いように思えますが週休日を有給に振り分けられることも珍しくありません。
有給休暇を取得しづらい状況は、看護師の労働環境における大きな課題です。一部の病院では計画的付与制度を導入し、改善を図っています。看護師の有給休暇取得率の向上に向けた取り組みが行われているものの、十分とは言えない状況が続いています。
看護師のシフトと休み方
看護師には2交代制や3交代制、夜勤専従などさまざまなシフト形態があり、それぞれの特徴を理解して選択することが大切です。各シフト形態の特徴や注意点を紹介します。
- 2交代制
- 3交代制
- 夜勤専従
2交代制
2交代制は、1日を2つの勤務帯に分ける形態です。通常、日勤と夜勤の2つの勤務帯があります。日勤は8〜12時間程度、夜勤は16〜17時間程度の勤務時間です。2交代制の特徴には以下が挙げられます。
- 夜勤後に休日がある
- 規則的な勤務と休暇のサイクルがある
- 夜勤回数が少ない
- 夜間の人員配置が手厚い
2交代制は、夜勤の回数が6~8回程度になることが多く、働きやすい勤務形態とも言えます。
たまに夜勤明けの翌日に日勤や夜勤が入ることもありますが基本的に休日になることが多く、比較的規則的なサイクルで勤務が組まれます。
日勤者と夜勤者で割り振るため、その分夜間の人員を確保しやすいのも2交代制の特徴と言えます。一方で、2交代制には長時間勤務による疲労蓄積のリスクがあるので、健康管理に注意が必要です。十分な休息時間の確保や適切なシフト管理が欠かせません。
16時間の夜勤は思っている以上に身体的な負担が大きいです。
3交代制
3交代制は、1日を3つの勤務帯に分ける形態です。日勤・準夜勤・深夜勤の3つのシフトで構成され、一般的な勤務時間は各シフトとも8時間程度です。3交代制には以下のメリットとデメリットがあります。
- メリット:夜勤手当、短い勤務時間
- デメリット:身体的・精神的負担大
3交代制では必然的に夜間の時間帯での勤務が増えるため、夜勤手当が得られやすいです。また、2交代制のように12時間~16時間といった長時間の勤務がないこともメリットです。
一方で、日勤後に帰宅して、ゆっくり休む間もなくその日の深夜帯に出勤するなどの仕事と休日の区別がつかないようなシフトが組まれることもあります。
常に病院に縛られる感じがしてきつい、嫌だという人も多いです。
夜勤専従
夜勤専従は、夜間のみの勤務形態を指します。通常16時間以上の長時間勤務となるため、体力的・精神的な負担が大きい点が特徴です。夜勤専従には以下のメリットとデメリットがあります。
- メリット:夜勤手当、日勤がない、拘束時間が少ない
- デメリット:生活リズムの乱れ、体調不良
夜勤専従は日勤がないので、朝が苦手な人にはメリットです。また、夜勤前、夜勤明け、休みの3日間で1勤務のセットなので出勤日が少なくて済みます。人によっては夜勤前、夜勤明けの時間を有効活用できるという人もいます。
夜勤手当が高かったり、日中の時間を自由に使えたりする点は夜勤専従の魅力です。夜勤専従者向けの福利厚生を提供する病院もあります。夜勤専従を務める看護師は経験豊富なベテランが多く、緊急時の対応力が求められます。
看護師が「休みにくい」と感じる理由
看護師が休暇を取りにくいと感じる背景には、医療現場特有の事情や人員配置の課題があります。看護師が「休みにくい」と感じる主な理由をいくつか紹介します。
- 土日に休暇を取得しづらい
- 休みが不定期で予定を立てにくい
- 年末年始も忙しい
- シフトの希望が通りにくい
- 夜勤明けが休みとみなされる
- 休日出勤を求められる
土日に休暇を取得しづらい
土日の休暇取得の難しさは、多くの看護師が直面する課題です。特に土日はスタッフの需要が高いため、土日出勤が一般的です。土日に休暇を取得できない具体的な要因には、以下が挙げられます。
- 平日休みが基本的な勤務体制
- 若手看護師の土日シフト傾向
- 休日出勤を求められる
看護師は基本的にシフト勤務なので土日の両方が休みになることの方が珍しいです。また、小さいお子さんがいる人やパートの看護師の場合は優先的に平日勤務になる傾向にあるので若手の看護師は土日の勤務になることが多いです。
部署によっては緊急治療や緊急手術もあり、突発的な出勤要請も珍しくありません。土日に外来診療を行う病院では、さらに休暇取得が難しいです。
私は救急外来にいたので、休日も緊急カテーテル検査の待機当番があり何度も出動しました。当然、電話を貰ってすぐに向かわなければならないので休日でも出掛けられませんでした。
その他にも手術室や内視鏡室、放射線室、透析室などの看護師は休日でも夜間でも待機当番があり突発的な出勤を伴う病院も多いです。
休みが不定期で予定を立てにくい
多くの看護師が不定期な休みに予定を立てにくい悩みに直面します。シフト制の勤務体制により、休日が固定されず月ごとに変動するため、長期的な計画を立てるのが困難です。
友人や家族との予定を合わせにくく、季節のイベントや連休を楽しむ機会も限られます。急な勤務変更や呼び出しにも対応しなければならず、休日であっても心の休まらない状況に直面する場合が多いです。
大型連休やお盆、年末年始などは世間のお休みモードとのギャップにモヤモヤすることも多いです。
夜勤や変則勤務により、生活リズムが乱れやすいのも大きな課題です。休みの希望が通らない場合も多く、予定していた休みが変更されるケースもあります。休暇の予測可能性を高め、柔軟な勤務調整システムを導入するなど、改善策の検討が急務です。
年末年始も忙しい
年末年始の勤務は、看護師の仕事の特徴的な側面です。医療サービスは24時間365日必要とされるため、多くの病院で年末年始も通常の勤務体制を維持しています。
救急対応は規模の大きな病院ほど年末年始は激務になります。リハビリなどの他職種と比べると看護師の業務は止めることができないので、年末年始の休暇取得が難しく、休暇の調整や心身のリフレッシュに関する課題も多いです。
年末年始の前半と後半のどちらかは連休にするなど、看護師自身も長期的な視点で休暇計画を立てることが大切です。
シフトの希望が通りにくい
基本的に先輩や上司の希望が優先されるため、新人や若手看護師の希望は後回しです。同僚の急な欠勤や退職で予定が突然変更されることも珍しくありません。
夜勤や休日出勤の割り当ても多く、個人の希望とは異なるシフトになる場合が多いです。シフトメンバーの力量のバランスを考慮して希望が通らないケースがあります。
希望を出す際の制限も厳しいです。期限や提出方法が厳格で、融通が利きません。希望を出せる回数や日数にも制限があり、長期休暇や連休の希望は特に通りにくいです。休みたい日に休めないことで、家族や友人との時間が取りにくくなり、自己啓発の機会も逃してしまいます。
私の場合、一か月のシフトの休日指定は4日まででした。締め切りも前の月の中旬だったので周囲と予定を合わせるのが大変でした。
夜勤明けが休みとみなされる
ブラックな病院の勤務体系では、夜勤明けの日が休みとみなされる場合があります。夜勤明けの日は、公休扱いとされるため、実質的な休養時間が確保しにくいです。身体的・精神的な負担が大きいにもかかわらず、十分な休息を取れません。
夜勤明けの翌日に日勤のシフトが組まれている時は夜勤中から気分が落ち込んで鬱々としてしまいます。
休日の感覚も曖昧になりやすく、ワークライフバランスの維持が難しいです。夜勤明けの日に予定を入れづらかったり、連続した休暇を取得しにくかったりする点は、生活において大きな問題です。
家事や用事をこなせなくなることや、十分な睡眠時間を確保できないことは、看護師の健康を脅かす要因でもあります。看護師の心身の健康を守るためには、夜勤明けの日は勤務日として考慮するのが本来あるべき姿です。
休日出勤を求められる
看護師の仕事の特性上、休日出勤を求められることは避けられません。患者の命を預かる職業であるため、緊急時には休日であっても出勤する必要があります。休日出勤を求められる具体的な状況は、以下のとおりです。
- 急患対応
- 緊急治療、緊急手術
- 同僚の欠勤時代替
- 災害時や感染症流行時対応
- 重要な研修や会議
休日出勤が常態化すると、看護師の心身の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。代休の取得が難しかったり、休日出勤の手当が十分でなかったりする場合もあるので、注意が必要です。休日出勤を断りにくい雰囲気がある職場環境では、看護師の負担が増大する傾向にあります。
私の場合、夜間や休日の緊急治療での呼び出しがあっても超過勤務手当がつくのみで代休などの取得はできませんでした。
休みが多い看護師の職場
看護師の職場の中でも、比較的休暇が取りやすい環境があります。代表的な職場は以下のとおりです。
- 大学病院・国立病院
- クリニック
- 訪問看護
- 保育園
大学病院・国立病院
大学病院や国立病院は、看護師にとって比較的休暇を取得しやすい職場と言えます。年間休日数が多く、有給休暇の取得率も高い傾向にあります。大学病院や国立病院の具体的な特徴は以下のとおりです。
- 充実した夏季・年末年始休暇
- 効率的なシフト制度
- 豊富な人員配置
- 研修や学会参加の支援
大学病院や国立病院では、福利厚生が充実しています。労働組合により、労働条件の改善にも積極的です。長期休暇制度があり、リフレッシュの機会も得やすい点が特徴です。
夏季休暇やリフレッシュ休暇など、大体5日以上取得できる病院がほとんどです。
大規模な職場であるため業務の忙しさや責任の重さから、休暇中でも心理的な負担を感じる看護師もいます。休暇を十分に活用し、心身ともにリフレッシュすることが重要です。
クリニック
クリニックは、看護師が休みを取りやすい職場の1つです。病院と比べ、より良好な勤務条件を提供する傾向があります。クリニックで働く看護師の大きな利点は、夜勤がないことです。外来診療が中心で入院患者がいないため、夜間の勤務がありません。
土日祝日が休みになる点もクリニックの魅力です。年末年始も休暇が取りやすく、家族や友人との時間を大切にできます。残業も少ないため、業務量が比較的少ない環境で働くことが可能です。決まった診療時間内で終わるので、ワークライフバランスも安定しやすいです。
一方でクリニックは、病院と比べて給与が低い傾向があります。また、緊急時の対応や高度な医療処置が少ないため、スキルアップの機会が限られます。とはいえ、小規模な職場で人間関係が構築しやすく、ワークライフバランスを重視する看護師にとっては魅力的な選択肢です。
訪問看護
訪問看護は、患者の自宅を訪問して看護サービスを提供します。病院勤務の看護師と比べ、より柔軟な勤務形態が特徴です。訪問看護の主な業務内容は以下のとおりです。
- 通院が困難な患者のサポート
- 24時間365日対応
- 1日平均4〜5件の訪問
- 個別ケアの提供
- 在宅ターミナルケア
訪問看護では、病院とは異なる環境で看護ができます。患者や家族との信頼関係を築きながら、よりきめ細かなケアを提供することが可能です。訪問看護には自己管理能力と判断力が求められる点を考慮しましょう。移動時間や記録作成などの業務も多いため、時間管理のスキルも必要です。
当番制でオンコール対応をすることもありますが、基本的に土日祝日休みなので休暇は取りやすい職場と言えます。
高齢化社会に伴い、訪問看護の需要は今後も増加していきます。地域包括ケアシステムの中核を担う重要な職種として、今後さらに注目されます。
保育園
保育園で働く看護師は、通常の病院勤務と比べてワークライフバランスが取りやすいです。子どもの健康管理や応急処置が主な業務です。看護師の専門性を活かしながら、比較的ストレスの少ない環境で働けます。保育園で勤務する看護師の魅力は、以下のとおりです。
- 土日祝日が基本的に休み
- 夜勤がない
- 長期休暇がある
長期休暇には夏休みや冬休み、春休みが含まれます。保育園の看護師は、子どもが好きな方や家庭との両立を重視したい方にとって魅力的な選択肢です。ただし、求人が少ないことと、給与面では病院勤務よりも低くなる点を留意しましょう。
看護師におすすめの休みの過ごし方
看護師の休日は、心身をリフレッシュする貴重な時間です。過ごし方を工夫することで、仕事への活力を高められます。休暇でおすすめの過ごし方を紹介します。
- 自宅でリラックス
- 掃除や片付け
- マッサージやヨガ
- 趣味や好きなこと
自宅でリラックス
自宅でリラックスすることは、看護師の心身の回復に重要です。忙しい仕事の合間に自宅でゆっくり過ごす時間を作ると、ストレスを軽減でき、疲労を癒やせます。おすすめの自宅でのリラックス方法は以下のとおりです。
- ゆっくりと入浴する
- 好きな音楽を聞く
- 好きな本や雑誌を読む
- 映画や動画をみる
- 料理をする
- 十分な睡眠時間の確保する
上記は気分転換や心の安らぎをもたらします。リラックス方法は一人ひとり異なるため、自分に最適な方法を見つけましょう。
日々の睡眠不足を解消するために十分な睡眠時間を確保することも重要です。睡眠時間を十分に取ると、疲労回復が促進されます。自宅でリラックスして自分と向き合える時間を作れば、仕事のストレスから解放され、次の勤務に向けて心身をリフレッシュできます。
仕事のことを一切考えなく良い時間を作るのがコツです。
掃除や片付け
掃除や片付けは、看護師の休暇におすすめな活動です。日々の激務から解放され、自分の生活空間を整えることで、心の整理にもつながります。おすすめの掃除や片付け方法は以下のとおりです。
- 少しずつ取り組む
- 音楽を聴きながら楽しく掃除する
- 断捨離で不要品を処分する
- 掃除後のご褒美を設定する
掃除や片付けは単純に部屋がきれいになるだけでなく、ストレス解消と達成感が得られるのでおすすめです。連勤だとなかなか家事ができないので、休日に掃除や片付けをすると、平日の負担も軽減できます。
きれいになった部屋でリラックスするのも気分爽快なので試してみることをおすすめします。
マッサージやヨガ、ストレッチ
マッサージやヨガは、看護師の心身のリフレッシュに役立ちます。激務による疲労やストレスを解消し、心と体のバランスを整えます。マッサージやヨガの主な効果は以下のとおりです。
- 体の緊張をほぐす
- 心を落ち着かせる
- 柔軟性や姿勢の改善する
- 睡眠の質を向上させる
- ストレス耐性を高める
特にヨガやストレッチは自宅でも簡単にできるため、忙しい看護師でも取り組みやすい方法です。定期的な実践により、睡眠の質も向上します。マインドフルネスの要素もあるため、ストレス耐性を高められる点も魅力です。
仲間と一緒に行えば、コミュニケーションの機会にもなります。特に病院外の人との繋がりは視野が広くなり、普段は受けられない刺激を受けられるので、教室やジムで仲間を作るのはおすすめです。
趣味や好きなこと
看護師にとって、趣味や好きなことに時間を使うのも心身のリフレッシュには重要です。仕事のストレスから離れ、自分の楽しみに没頭すると、新たな活力を得られます。人気の趣味は以下のとおりです。
- 読書
- 運動
- 旅行
- 映画鑑賞
- 料理やお菓子作り
- ペットと過ごす時間
自宅で手軽に楽しめるものが多いので、忙しい看護師にも取り入れやすいです。外出を伴う趣味も心身のリフレッシュに効果があります。ジョギングやウォーキング、筋トレなどの運動、旅行や日帰り温泉、カフェ巡り、美術館や博物館訪問などもおすすめです。
趣味を通じて新しい発見や達成感、刺激を得ることで、日々の仕事におけるストレスを軽減させて活力を回復させることができます。自分に合った趣味を見つけて楽しむと、より充実した休日を過ごせます。
まとめ
看護師の仕事は重要でやりがいがある反面、休みが少なく不規則な点が大きな問題です。忙しい中でも限られた休みを有効に活用し、心身のリフレッシュを図りましょう。自分に合った休みの過ごし方を見つけ、仕事と生活のバランスを取ることが大切です。
医療機関側も看護師の休暇取得を積極的に支援し、働きやすい環境づくりに取り組むべきです。看護師が健康で生き生きと働ける環境が、質の高い医療サービスにつながります。