- 何度も挑戦しているけど公務員試験に合格できない…
- どうして受からないのか知りたい
- 自分がやっている対策で合格できるか不安…
- 公務員試験に全落ちしたらどうすればいい?
行政保健師として働くためには公務員試験に合格する必要があります。
公務員試験は、難関資格ほどの難易度はありませんが、募集人員が決まっている以上、勉強や対策を行った上で臨んだとしても不合格になることは珍しくありません。公務員試験は独学で合格できる人もいますが、独学では合格が難しい人もいます。
私は実際に公務員試験を受けて独学で合格することができましたが、友人や知り合いの中には毎年挑戦しているけどなかなか合格できないという人もいました。
この記事では、私の実体験をもとに、独学で公務員試験に合格するのが難しい人の特徴5つとその解決策をまとめました。
最後には公務員試験に全落ちした場合、どうすれば良いのかも解説しています。
公務員試験の全体像を理解していない
公務員試験の全体像を理解できていないと合格するのは難しいです。
その理由は以下のとおりです。
- 公務員試験の試験科目は多く、出題範囲も広いから
- 試験科目ごとに配点が大きく異なるから
- 試験科目の優先順位をつけないと最終合格できないから
公務員試験には複数の試験科目があり、試験も一次試験と二次試験で構成されています。
以下の図は各自治体と試験科目の例です。
A | B | C | D | E | |||||
一 次 試 験 | 教養試験 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
基礎能力検査(SPI) | |||||||||
専門試験 | |||||||||
小論文 | |||||||||
二 次 試 験 | 面接① | ||||||||
面接② | |||||||||
グループワーク等 | |||||||||
適性検査 |
※小論文は一次試験の時に解答し、二次試験の得点として使用する自治体が多いです
試験科目の種類は自治体ごとに異なるので、自分が受験する自治体の試験はどの科目が課されるのかをしっかり理解しておく必要があります。
また、科目ごとに配点が大きく異なるので、どの科目を重点的に対策すべきか意識することが重要です。
例えば、以下は上の表でB自治体を受験した場合の科目ごとの配点例です。
- 教養試験 400点
- 専門試験 800点
- 小論文 300点
- 面接 800点
どの科目でもしっかり得点することは重要ですが、配点の高い専門試験や面接を重点的に対策して高得点を取る方が効率が良いことが分かります。
科目ごとの配点や、重点的に対策をした方が良い科目や分野は何なのかを把握して、公務員試験の全体像を理解しておくことが大切です。
特に複数の自治体を受験する人は、学習計画を綿密に立てることが重要です。
行政保健師の仕事内容への理解が不十分
行政保健師の仕事内容への理解が不十分だと面接で大きな影響を受けます。面接はどこの自治体でも配点が非常に高い試験なので、適切な回答ができないと他の受験生と差を付けられてしまいます。
行政保健師の仕事内容を理解する上で重要なポイントは以下の2点です。
- 規模や自治体によって事業内容が異なる
- どんな仕事に興味、関心があるかを整理する
規模や自治体によって事業内容が異なる
行政保健師の仕事は『都道府県』か『市区町村』かで実施している事業が異なるので、仕事内容も大きく異なります。
都道府県の主な事業は以下のようなものになります。
- 健康増進
- 母子保健
- 結核
- 感染症
- 精神保健
- 難病
- 災害対応
- 人材育成
市区町村の主な事業は以下のようなものになります。
- 健康相談、指導、訪問
- 健康診査、健診(乳幼児健診、成人健診、特定健康診査)
- 健康教育、普及啓発
- 予防接種事業
- 母子保健
- 高齢者、障害者支援
- 精神保健
- 災害対応
それぞれに特有の事業や役割について解説します。
- 都道府県に特有の事業
- 難病や感染症、結核、精神保健は都道府県に特有の事業であり、市町村ではあまり馴染みがありません。特に精神保健は市区町村でも対応しますが、措置入院などの緊急対応は都道府県が対応することになっています。
- 市区町村に特有の事業
- 乳幼児健診を始めとする母子保健、成人健診や特定健診を始めとする健診や特定保健指導などは市区町村に特有の事業であり、都道府県が対応することはありません。高齢者、障害者支援も市区町村が担当します。
どんな仕事に興味、関心があるかを整理する
面接では自分が受験する自治体で行っている事業において、どのような業務に興味や関心があるのかを整理した上で伝える必要があります。
教科書に書いてあるような当たり前で抽象的なことを話していると、他の受験生と差が付けられないどころか、差を広げられてしまいます。
例えば、
「乳幼児健診において、親子と直接関わることで、親子に寄り添った必要な支援を考えていきたい」
ではなく、
「乳幼児健診では、妊娠届時の面談から顔の見える関係性を構築し、EPDSも活用しながらハイリスク母子の早期発見に努め、個別支援はもちろん、医療との連携会議を推進し地域における精神的支援を行える体制づくりを目指したい。」
のように具体性のある答え方ができるように準備しましょう。
自治体の規模や、志望自治体の事業が分かっていないと具体性のある回答ができません。
勉強・対策時間が圧倒的に足りていない
公務員試験の対策において、勉強・対策時間は最重要です。
その理由は以下のとおりです。
- 保健師の公務員試験の対策時間の目安は1000時間だから
- 対策には少なくとも半年は必要だから
- 時間がないのは皆一緒だから
教養試験は出題範囲が非常に広く、分野を絞って勉強してもかなりの時間を要します。また、専門試験は保健師の国家試験に準じた対策が必要なので数か月単位の対策が必須です。
学生も社会人も時間がないのは皆一緒なので、結局、意識的に勉強・対策時間を作れる人が合格に近付けます。
学生と社会人で、それぞれ時間が足りないケースと解決策について解説します。
- 学生で時間が足りないケース
- 社会人で時間が足りないケース
- 時間がない人のための解決策
学生で時間が足りないケース
学生で時間が足りない人の例は以下のとおりです。
- 実習、定期試験、ゼミで忙しい
- アルバイト、部活、サークルで忙しい
- 看護研究で忙しい
大学生は早い人で3年次に入ってから、保健師養成学校の人は入学時から対策を始めます。
大学生はアルバイトや実習、試験勉強、部活、サークルで忙しいため、意識的に時間を作らないと勉強時間の確保が出来ません。
保健師養成学校では1年間で地域看護学を学び、実習や試験もこなしながら対策をしなければいけません。
近年は、保健師過程の大学院化が進んでいますが、大学院生は修士課程では高度な勉強や研究をこなしながら対策をしなければいけません。
私が学生だった頃、周りで公務員試験に合格した人は皆、プライベートの時間を極限まで削って勉強時間を確保していました。
社会人で時間が足りないケース
社会人で時間が足りない人の例は以下のとおりです。
- フルタイムで看護師をしている
- 夜勤もしている
- 家に帰ると家事、育児に追われている
社会人は仕事をしながら公務員試験の対策をしなければなりません。特に看護師の人はフルタイムで夜勤をしている人も珍しくありません。
仕事が早く終わって帰宅しても、家では家事と育児に追われ勉強時間の確保ができない人もいます。
学生と違い、まとまった休暇がとれないので、仕事以外の全ての時間を勉強に使うことができないと合格に必要な勉強時間に達することができません。時には仕事の休憩中や移動時間も勉強に使う覚悟が必要です。
睡眠時間を削るのは長期的にみておすすめしません。
時間がない人のための解決策
時間は平等なので、それぞれの環境や生活スタイルによって自由に使える時間に差が出てしまうのは当然ですし、不平等に思えてしまうのは無理もありません。
大事なのは、自分が最大限努力してどれくらいの勉強時間を作り出すことができるかということです。
時間がない人の解決策は以下のとおりです。
- 飲み会、食事会は控えるか、行かない
- テレビをつけない
- スマホで余計なものを見ない
- 1時間だけ早起きして勉強する
- アルバイトの回数を減らす
- 仕事の休憩時間や授業の空き時間に勉強する
- 通勤、通学途中はyoutubeの試験情報を聞き流す
- 休日は必ず図書館へ行く
- 料理に時間をかけない
考えればいくらでも出てくるはずです。
例えば、自由に使える時間が一日5時間ある人が無駄な時間を過ごしている間に、あなたが上記の解決策を実行することで余裕でトータルの勉強時間を上回ることができます。
自由時間の量で勝負が決まるのではなく、トータルの勉強時間で勝負が決まるということです。
公務員試験合格のポイントは効率的な勉強方法と勉強時間の確保です。効率的な勉強方法は、やっているうちに身に付いてきますし、誰かに教えてもらうという方法もあります。
まず一番最初にやるべきことは、自分の努力でしか達成できない勉強時間の確保です。
勉強・対策の効率が悪い
勉強・対策の効率性は勉強時間の確保と同じくらい重要です。
公務員試験の試験科目数は非常に多く、出題範囲も非常に広いため、やみくもに机に向かっていても効果的な学習に繋がりません。大事なのは、試験科目の特徴を知り、どの科目や分野にどれくらい時間をかけるかということです。
効率が悪い人の特徴と解決策を解説していきます。
- 試験科目や分野ごとに優先順位をつけられない
- どの科目や分野にどれくらい時間を使うか決めていない
- 効率が悪い人のための解決策
試験科目や分野ごとに優先順位をつけられない
試験科目や分野ごとに優先順位をつける重要性は以下のとおりです。
- 試験科目によって配点が大きく異なるから
- 試験科目内の各分野でも配点が大きく偏っているから
- すべての試験科目が最終合否に関わるわけではないから
公務員試験は試験科目によって配点が大きく異なります。科目内の、ある特定の分野は配点が小さく対策をするのが非効率である分野もあります。
一次試験の結果は足切りとして使用されて、最終合否の判定は二次試験の得点のみで決定するという自治体も多いです。
配点が大きく、合否を左右する試験科目や分野に合わせて、勉強や対策の優先順位を決めることが重要です。
どの科目や分野にどれくらい時間を使うか決めていない
試験科目や分野によって、どれくらいの勉強時間を費やすかを計画的に考えて対策することは重要です。
例えば、教養試験における古文の分野の出題数は0~1題です。この1題を得点するために何時間も時間をかけるのは非常に効率が悪いです。出題数が多く、配点の高い科目や分野に絞ってを重点的に潰していくことが効率的な対策方法です。
効率が悪い人のための解決策
勉強・対策の効率を上げるための方法は以下のとおりです。
- 大学で行われる公務員試験講座を受講する
- とにかく継続していく中で自然と効率性を高めていく
- 通信講座を受講する
一部の大学では、公務員試験講座が開催される場合もあるので受講してみるのも手です。
効率的な勉強・対策方法は、実際に手をつけてみて徐々に身に付いていくものです。最初から効率的な勉強方法を知っていて、それが実践できる人は一部の天才だけです。
一方で、自分で試行錯誤して効率的な勉強方法を身につけることは可能ですが、時間も労力もかかります。時間をかけても効率的な勉強方法にたどり着けない人もたくさんいます。
そのような人は誰かに教えてもらうことが一番簡単で時間もかかりません。おすすめは公務員試験対策の通信講座です。
通常、公務員試験予備校に通う場合は30~50万円と費用が非常に高いですが、通信講座では数万円~10万円台程度で受講することができるのでコスパが非常に高いです。
おすすめの通信講座は以下の2つです。
二次試験対策が不十分
公務員試験は基本的に一次試験が筆記試験、二次試験が面接と小論文という構成をとっています。
一次試験に合格しなければ二次試験を受験することができないので、二次試験で合格点を取ることは当然重要ですが、一次試験の対策にばかり力を入れていて二次試験の対策がおろそかになってしまう人がいます。
- 最終合否は基本的に二次試験で決まる
- 一次試験後からでは遅い
- 二次試験でしっかり合格を勝ち取るために
最終合否は基本的に二次試験で決まる
最終的な合否は二次試験の得点で決定する自治体がほとんどなので、いくら二次試験で高得点を取っても2次試験で得点が低いと最終合格できません。
以下は私が受けた自治体の試験科目と配点です。
一次試験 | 教養試験400点 | 専門試験800点 |
---|---|---|
二次試験 | 小論文300点 | 面接(2回)900点 |
私が受験した自治体での選考要件は以下のとおりです。
第一次試験の合格者は、第一次試験の基準を満たす者の合計点の上位者から決定する。
最終合格者は、第二次試験の基準を満たす者の点数の上位者から決定する。
なお、最終合格ラインに同点者がいる場合は、口述試験(面接)の得点の上位者から決定し、口述試験(面接)も同点の場合は、第一次試験の合計点の上位者から決定する。
見てのとおり、一次試験はあくまで通過点で、二次試験が本番だということをしっかり理解しておきましょう。
いかに面接が大きなウエイトを占めているかが分かります。
一次試験後からでは遅い
面接の対策が一次試験後からでは遅い理由は以下のとおりです。
- いきあたりばったりで対応できる試験ではないから
- 他の受験生と差をつける回答が必要だから
- 十分な準備と練習をした上で臨む必要があるから
二次試験は一次試験の合格発表からおよそ1か月後くらいに実施されることが多いです。
小論文は一次試験の時に回答することになるので、他の一次試験の対策と並行して対策を進めることになりますが、『面接の対策は一次試験に合格してから』と後回しにしてしまいがちです。
面接では、『こう聞かれたらこう答える』という回答例の準備と頭の中の整理をして回答を準備しておくことが非常に重要です。その場しのぎでの回答は浅はかに聞こえてしまうので注意しましょう。準備した回答を印象良く答える練習も必須です。
他の受験生に差をつけるためには、一次試験の前から少しずつでいいので対策を進めていくという意識が必要です。
二次試験でしっかり合格を勝ち取るために
面接や小論文は配点が大きいので、対策がしっかり行えていれば合格できる可能性はグッと上がります。
二次試験で合格を勝ち取るためのポイントは以下のとおりです。
- 小論文と面接の基礎知識を学ぶ
- 他者から実際に小論文のフィードバックを貰う
- 模擬面接で他者からのフィードバックを貰う
面接も小論文も一人で対策をするのは難易度が高いです。なぜなら、筆記試験のような絶対的な正答がなく答え合わせができないからです。
どちらも他者のフィードバックを受けることで効率的に実力がつきます。もちろん一人で対策して合格できる人もいますが、面接や小論文に苦手意識がある人は積極的に通信講座の受講を検討することをおすすめします。
通信講座はコースの講座になっていることが多いですが、アガルートアカデミーなら単科受講が可能なので、面接と小論文の講座のみを受講するという方法がおすすめです。
公務員試験に全落ちしたらどうすればいい?
行政保健師になりたくて公務員試験を受けたものの、残念ながらすべて不合格という人もいます。
公務員試験に全落ちた場合の対応策は以下のとおりです。
- 諦めずに他の自治体を受験する
- 看護師として就職する
多くの自治体は6月~8月に公務員試験を行いますが、9月以降に試験を行う自治体もあります。どうしても行政保健師になりたい場合、諦めずに他の自治体を受験するという方法もあります。どうしても就職したい自治体がある場合、次年度以降に再挑戦する方法もあります。
一旦、看護師として就職してから公務員試験に再挑戦しても良いです。看護技術が身に付き、また違った視点で社会経験を得ることができるので決して無駄でも遠回りでもありません。
志望していない自治体に就職したり、看護師として就職したけど意外と自分に合っていたなんてことも良くあります。希望する自治体が必ずしも自分に合っているとは限らないので、働く中で自分のキャリアを見つめ直すことも大切です。
まとめ
公務員試験に挑戦する中で合格できない理由として、以下が挙げられます。
- 試験全体の理解不足
- 行政保健師の業務理解不足
- 勉強時間の確保不足
- 対策の効率性の欠如
- 二次試験対策の不足
合格には試験科目や自治体の事業内容を把握し、効率的かつ綿密な勉強計画が必要です。全落ちした場合でも、再度の挑戦や別のキャリアを検討することで前進できます。
公務員試験は決して簡単なものではありませんが、諦めずに努力を続けることが大切です。この記事を参考に、あなたもぜひ公務員試験合格を目指してください。