- 退職代行サービスにかかる費用が気になる
- 安いところと高いところの違いは何?
- どのサービスを選択すれば良いのか分からない
退職代行サービスの使用を検討しているものの、費用について心配する人は多いです。安いところだと1万円台、高いところだと10万円程度かかることもあります。費用に幅があるため、どの退職代行サービスを選べばよいのか分からず、悩んでいませんか?
費用が安いからという理由だけで選ぶと、退職できないだけでなく、さまざまなトラブルに巻き込まれるリスクがあります。また、目的とサービス内容が合っていない場合、目的の割には費用が高すぎたと後悔する可能性もあります。
この記事では、退職代行サービスにかかる金額の相場、選び方のポイントを詳しく解説します。
最後まで読めば、トラブルを未然に防ぎ、余計な費用を支払わなくて済む退職代行サービスの選び方が分かります。退職代行の費用は、サービス内容によって変わるため、自分に合ったサービスを選べるようになりましょう。
前提知識:退職代行の種類は4種類
退職代行サービスの金額や相場を知る前に、退職代行サービスの運営元による種類を知っておく必要があります。退職代行サービスには、以下の4種類があります。
- 労働組合が直運営しているもの
- 弁護士法人が運営しているもの
- 民間企業が労働組合と提携しているもの
- 民間企業が単独で運営しているもの
重要ポイント
民間企業が運営しており、労働組合と提携している業者が「労働組合運営」と記載している業者が多いです。厳密に言うと、「労働組合運営」と、「労働組合提携」は少し立場が違うため、ここでは4種類に分類しています。
4種類の退職代行サービスの特徴は以下のとおりです。
運営母体 | 労働組合が直運営 | 弁護士法人が運営 | 労働組合と提携 | 民間企業単独 |
---|---|---|---|---|
安全性 | ||||
確実性 | ||||
交渉権 | ||||
法的対応 | ||||
費用 |
ここからは4種類の運営元があることを前提に退職代行サービスの金額の相場について説明します。
退職代行にかかる金額の相場
退職代行サービスの料金相場は、1〜10万円です。民間企業や労働組合、弁護士によるサービスで価格帯が異なり、対応できる範囲も変わります。料金とサービス内容のバランスを見極め、自分の状況に合わせて適切な価格帯のサービスを選びましょう。
- 民間企業が単独で運営(1~3万円)
- 民間企業が労働組合と提携(2~3万円)
- 労働組合が直接運営(2~3万円)
- 弁護士法人が運営(5~10万円)
民間企業が単独で運営(1~3万円)
民間企業が単独で運営するの退職代行サービスの料金相場は1〜3万円です。
民間企業が単独で運営する場合、第三者として退職の意向を伝え、法律に基づいて退職することは可能ですが、それ以上のことは何もできません。有給消化の交渉などを行うことは弁護士法に反するため一切行うことができません。
また、以下のようなリスクもあります。
- 悪徳業者、詐欺業者に騙されるリスク
- サービスの品質が低い
- 社会的に信用度が低い
サービスの質が低い退職代行業者の場合、電話一本入れて「退職が完了しました」という業者もあります。会社側は、聞いたこともない民間企業からの連絡を信用せず、退職の手続きを進めていなかったというトラブルもあり得ます。民間企業が単独で運営している業者は、料金を抑える代わりにサービスの質に問題があるケースが多いため、選択しない方が無難です。
費用は安いですが、リスクを伴うので私はおすすめしません。
民間企業が労働組合と提携(2~3万円)
民間企業が労働組合と提携している場合の費用相場は2~3万円です。民間企業が労働組合と提携している退職代行サービスの特徴は以下のとおりです。
- 労働組合として、労働者を守る権力がある
- 民間企業として、多くのサポートや付加価値をつける柔軟性がある
- 民間企業単独のサービスとの費用の差はほぼない
会社としての事業は株式会社などの民間企業が運営し、退職代行業務および交渉については提携している労働組合が行うというものです。法的に認められた労働組合による団体交渉権により、有給消化の交渉が行える点がメリットです。
注意点
「労働組合運営」と公式サイトに記載しているにも関わらず、どこを探しても労働組合の情報が見当たらないという業者も存在します。また、サービス内容が変わらなかったり、劣る場合でも高めの費用を設定している業者もあるため、業者選びには注意が必要です。
労働組合が直接運営(2~3万円)
労働組合が直接運営するする退職代行サービスの相場は2万円~3万円です。労働組合の退職代行サービスの大きな特徴は以下のとおりです。
- 有給消化等の交渉権がある
- 労働組合法に基づく組織なので信頼性が高い
- 法的に認められた組織なので安心できる
- 民間企業並みの費用で利用できる
労働問題に詳しいスタッフがサポートしてくれる点も安心です。労働者の権利保護に重点を置いたサービスのため、民間企業の退職代行サービスよりも信頼性が高いと言えます。
民間企業が労働組合と提携して運営する場合と違い、労働組合が直接運営する退職代行業者は、事業の運営自体も労働組合が行っています。どちらも労働組合としての交渉権が使えるという点では大きな差はありません。
労働組合は、労働者の権利を守ることが主な目的なので、労働組合が直接運営することで、退職以外の労働問題にも対応でき、労働環境についての相談も可能です。
弁護士法人が運営(5~10万円)
弁護士による退職代行の料金相場は5〜10万円です。民間企業や労働組合に比べて高額です。ただし、法律のプロであり、労働問題への対応は弁護士の右に出る者はいません。特に、以下の点について対応が必要であれば弁護士に依頼するようにしましょう。
- 裁判所での代理人として活動
- 労働基準監督署への申告
- 訴訟提起などの法的措置
- 退職後のトラブル対応
- 未払い賃金請求
法的な専門知識を持つ弁護士が交渉や法的トラブルに対応するため、より包括的で安心感の高いサービスの提供が可能です。退職の意思表示だけでなく、会社との交渉や法的アドバイスもサービスに含まれます。法的な問題にしっかり対応できる点で安心です。
退職後に会社が不当な対応をした場合や、残業代の未払いが発生している場合などは、弁護士が交渉を進める権限を持っています。弁護士は法律にもとづいて退職手続きを進めるため、万が一トラブルが発生しても対応が可能です。
費用が高額になる点には注意してください。初回相談が無料の場合が多いため、相談だけでもしましょう。
退職代行にかかる金額を決める要素
退職代行にかかる金額を決める主な要素は、以下のとおりです。
- 交渉権の有無
- 法的対応の可否
- 提供されるサービス内容
交渉に要する時間や労力、法的対応の必要性、提供されるサービスの範囲や緊急性なども料金に影響を与えます。難しい交渉や複雑な案件ほど高度な専門知識や経験が必要となるため、料金が高い傾向があります。
交渉権の有無
交渉権とは、有給消化や未払いの給与、残業代、ハラスメント問題などの法的トラブルを解決するために交渉する権利のことです。交渉権を持つのは労働組合と弁護士のみで、民間の退職代行には認められていません。交渉権を持たない民間の退職代行は、退職の意思を伝える代行のみを行います。
退職に伴う未払い賃金の請求や、職場でのハラスメントに対する賠償の交渉が必要な場合は、弁護士に依頼しましょう。単に退職するだけであれば、弁護士に頼まなくても退職できます。しかし、法的な問題が絡む場合は費用をかけてでも交渉権を持つ弁護士のサービスを選ぶと、安心して退職手続きを進められます。
法的対応の可否
法的対応が可能かどうかは、退職代行サービスを選ぶ際の重要なポイントです。弁護士による法的対応が可能な退職代行サービスは、複雑な労働問題に対処できます。法的な対応ができるケースは、以下のとおりです。
- 労働基準法違反
- 違法行為
- 労働審判や訴訟
- 法的な権利保護
- 賠償請求
弁護士費用はもともと安いものではないため、料金が高い傾向があります。しかし、労働問題が複雑で法的リスクがある場合には、法的対応が可能な退職代行サービスを選びましょう。
費用対効果を考慮して、自分の状況に合わせた選択が必要です。
提供されるサービス内容
退職代行サービスでは、以下のようなサポートを受けられます。
- 退職意思の伝達
- 退職日程の調整
- 退職手続きの代行
- 退職に関する書類作成
- 未払い賃金の請求
- 有給休暇の消化交渉
- 退職金の確認と交渉
- 引継ぎ業務の調整
職場との直接的な連絡や調整、手続きの際にも間に入ってサポートしてくれるため、精神的な負担の軽減が可能です。法的なアドバイスやメンタルケアのサポートを受けられるサービスもあります。
退職後の生活に向けて、再就職支援を行うサービスもあり、サポート内容は多様です。
金額別|退職代行のメリット・デメリット
退職代行サービスの料金は、提供内容や対応力によって異なります。それぞれのメリットとデメリットを把握し、自分の状況や予算に合わせて、適切なサービスを選びましょう。
- 低価格帯=1~2万円
- 中価格帯=2~3万円
- 高価格帯=4万円以上
低価格帯=1~2万円
1~2万円の価格帯の退職代行サービスは、主に民間企業が単独もしくは民間企業が労働組合と提携している退職代行業者が多いです。
民間企業が単独で運営する退職代行サービスでは、会社との交渉やトラブル対応はサービスに含まれず、未払いの給与や残業代の請求には対応できません。単純に退職の意思を代わりに伝えることしかできません。
民間企業が労働組合と提携している退職代行サービスのほとんどは2万円台のことが多いです。民間企業が単独で運営している業者を回避し、しっかりと実在する労働組合と提携している業者を見つけることが重要です。単純に費用だけでなく、総合的にみて安全で安心・確実なサービスを見極める力が必要になります。
この価格帯は、サービスの質が優良な業者と、不安な業者が混在します。
中価格帯=2~3万円
中価格帯の退職代行サービスは、労働組合と提携もしくは運営している退職代行業者が多いです。24時間対応や休日対応、退職後のアフターフォローなどの柔軟なサービスが期待できます。
労働組合が直接運営している退職代行サービスの中には、民間企業並みに低価格で利用できる業者もあります。退職代行ガーディアンがその例です。退職代行ガーディアンは24,800円で利用できるので、民間企業が単独で運営している退職代行業者並みに安いです。しかし、しっかりと法的に認められた団体で、交渉権を持ち、透明性も高い業者なので非常に信頼性が高いです。
価格差がない中で、あえて民間業者を選ぶ理由は一切ないということです。
高価格帯=4万円以上
高価格帯の退職代行サービスは、主に弁護士法人が運営していることが多いです。複雑な労働問題への対応や交渉がよりスムーズです。弁護士に退職代行を依頼するメリットは以下のとおりです。
- 退職金や未払い賃金の請求ができる
- 裁判所への提訴を視野に入れた対応
- 失敗することがない
- 対応への引き出しが多い
- 弁護士に相談しているという本気度が伝わる
- 社会的信用度が高いので、すんなり退職できる可能性が高い
例えば、退職の意思を伝えて有給消化の交渉をするだけなら、労働組合が対応する退職代行サービスでも可能です。しかし、弁護士が対応しているという安心感と、会社に対する抑止力は弁護士の退職代行サービスでしか得ることができません。
料金が高額のため、経済的な負担が大きい点に注意してください。複雑な労働問題を抱えている場合や、法的な対応が必要な場合には、弁護士法人運営のサービスを選びましょう。
退職代行を選ぶときの費用に関する注意点
退職代行サービスを選ぶ際の以下の注意点について解説します。
- 異常に安い料金に注意する
- 追加料金の有無を確認する
- 返金保証の有無を確認する
上記に注意すると、自分に合った信頼できるサービスを選べます。
異常に安い料金に注意する
異常に安い料金の退職代行サービスには、特に注意が必要です。低価格の背景には、サービスの質や信頼性に問題がある可能性が考えられます。具体的には、以下のようなリスクに注意してください。
- サポート不足
- 隠れた追加料金
- 法令遵守違反
- 不適切なアドバイス
- 不十分な退職交渉
- 個人情報流出
経験や専門知識が不足したスタッフによる対応や、トラブル解決能力が低い場合があります。退職後のサポートが不十分な可能性も考えられます。料金だけでなく、サービス内容や実績、評判なども見て、総合的に判断しましょう。
追加料金の有無を確認する
退職代行サービスを利用する際は、追加料金の有無を確認してください。基本料金以外に発生する費用を事前に把握すれば、予想外の出費を避けられます。確認すべきポイントは、以下のとおりです。
- 基本料金に含まれるサービスの範囲
- 交渉が長引いた場合の料金体系
- 法的対応が必要になった場合の追加費用
- 退職後のサポートに関する追加料金
上記の情報を契約前に確認し、追加料金が発生する条件を明確に理解しましょう。安心してサービスを利用するためにも、不明な点は遠慮せずに質問をすることが大切です。
優良な業者であれば、こちらから聞かずとも費用について詳しく説明をしてくれます。
返金保証の有無を確認する
返金保証の有無も確認しましょう。具体的な確認方法は、以下のとおりです。
- 公式サイト
- カスタマーサポートへの問い合わせ
- 利用規約や契約書
返金保証がある場合には、条件や適用範囲をしっかり把握してください。返金が可能な期間や対象となる状況、返金額の計算方法などに注意が必要です。返金保証がないサービスもありますので、サービスの信頼性や実績を慎重に検討しましょう。
そもそも、退職に失敗しない優良な退職代行業者を選ぶことが重要です。
退職代行の金額に関するよくある質問
退職代行の金額に関するよくある質問を以下にまとめました。
- 退職代行サービスは違法?
- 無料の退職代行サービスはある?
- 退職代行サービスを安く利用する方法はある?
退職代行サービスは違法?
退職代行サービスは違法ではありません。労働者の権利を守るための合法的なサービスで、退職の意思表示や手続きを代行します。退職代行サービスの主な目的は、労働者が安全に退職できるように支援することです。
本人に代わって、第三者が退職の申し入れを行うことも違法行為ではありません。
一方で、退職代行サービスでは、悪質な業者が存在するのも事実です。脅迫や強要などの違法行為を行う業者もいるため、注意してください。悪徳な業者を選ばないためには、労働組合運営か弁護士法人運営の退職代行業者を選択することが最も確実で安心です。
無料の退職代行サービスはある?
無料の退職代行サービスは基本的に存在しません。無料に近い形で利用できる方法は、以下のとおりです。
- 初回相談や見積もりのみ
- 公的機関のサービス
多くの退職代行サービスでは、初回相談や見積もりを無料で行っています。公的機関を利用する選択肢も有効な方法です。労働基準監督署などでは、退職に関する相談や交渉のアドバイスを無料で受けられます。ただし、直接的な退職代行は行っていません。
無料や格安のサービスの場合、隠れた料金や追加料金がある可能性が高いため注意しましょう。
退職代行サービスを安く利用する方法はある?
退職代行サービスを安く利用する方法は、以下のとおりです。
- 複数サービスの費用を比較する
- 転職支援サービスと併用する
- 基本的なサービスのみ利用する
複数のサービスを比較検討すると、より安価で適切なサービスを選べます。また、退職代行を行っている業者の中には転職支援も行っている業者もあるため、併用して利用することで費用が割引されるケースもあります。
退職理由や状況が単純な場合は、初めから低価格帯のサービスを選ぶことで全体の費用を抑えることができます。
まとめ
退職代行サービスの金額の相場はについて解説しました。料金を決める要素には、交渉権の有無や法的対応の可否、提供されるサービス内容などが挙げられます。提供されるサービスの内容や価格を考慮して、自分の状況に合った退職代行サービスを選びましょう。退職代行サービスを選ぶ際は、以下の点に注意が必要です。
- 異常に安い料金のサービス
- 追加料金の有無
- 返金保証の有無
退職代行は合法なサービスですが、一部では悪質な手段を使う業者が存在することも事実です。退職代行は決して安価なサービスではありませんが、業者の特徴やサービスの内容を理解し、自分に合ったサービスを選択することで費用を抑えることができます。