- 退職代行とはどういうもの?
- 利用する際のメリット・デメリットは?
- どんな人におすすめできる?
- トラブルに巻き込まれないか心配…
- おすすめの退職代行サービスの選び方は?
日々の激務や長時間労働、パワハラに悩み、退職したいけど、「怖くて退職を言い出せない…」「退職したいと伝えたけど退職させてもらえない…」というケースは決して珍しいことではありません。
「自分ではどうしようもない。けど、何としても今の職場を退職したい」
そう思っている人には退職代行サービスは非常に心強い味方になります。一方で、
- 退職代行で本当に退職できるのか
- 安全なサービスなのか
- トラブルに発展しないか
といった不安を抱えている人も多いです。この記事では、退職に悩んでいるすべての人に向けて、退職代行サービスについて徹底的に解説します。
この記事を読めば、退職代行サービスの仕組みやメリットやデメリット、おすすめのサービスの選び方が分かり、退職代行サービスにおける重要な知識がすべて理解できるようになります。
最後まで読み終えれば、自信を持って、安全・安心・優良な退職代行サービスを選択することができるようになっているはずです。
退職代行サービスとは職場からの退職をサポートするサービス
退職代行サービスは、退職の意思伝達や退職手続きを代行して行うサービスです。退職の意思を自分では伝えられない、伝えても退職を認めてもらえない場合、第三者である退職代行業者があなたの退職の意思を代わりに伝えて退職手続きを進めてくれます。退職代行サービスの主なサポート内容は以下のとおりです。
- 相談対応
- 退職意思の伝達
- 退職手続き、返却物等の段取り
- 有給取得や未払い賃金支払いへの交渉
労働組合や弁護士が対応する退職代行業者を利用することで、専門知識を活かした安心で安全なサポートが受けられます。
退職代行サービスは、オンラインや電話から簡単に依頼できます。ほとんどの業者がLINEの無料相談を行っています。退職を言い出しにくい環境にある人や、すぐに退職したい人には身近な選択肢の一つです。
退職代行を使える人
ほぼすべての人が退職代行で退職することができます。憲法22条では職業選択の自由が認められており、選択の自由の中には退職の自由も含まれているからです。雇用契約などの個人間の法律に関する具体的な決まりは民法にもとづいています。民法627条第1項では退職について以下のように定められています。
引用:WIKIBOOKS「民法第627条」
- 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。
公務員や、パートなどの有期雇用契約の場合は少し異なりますが、正社員の場合、労働者が「辞めます」と会社に言うだけで、2週間後に退職することができます。重要なのは、会社の許可はいらないということです。
退職代行は、退職の申し入れを依頼者に代わって行うことで退職できるという仕組みです。
退職代行の利用者層
退職代行の利用者層は、20〜40代の若手や中堅層です。以下の人が退職代行を利用する傾向があります。
- ブラックな労働環境に悩む人
- 退職を言い出せない環境にいる人
- 自己主張が苦手な性格の人
- 退職交渉に不安を感じる人
- 転職を考えている人
会社の規模は中小企業から大企業まで幅広く、真面目で誠実な人が多いという傾向があります。退職代行は、退職に悩む人の心理的負担を軽減し、スムーズな退職をサポートします。
退職代行は4種類あるが労働組合か弁護士法人を選ぶ
退職代行は、以下の4種類に分類されます。
- 労働組合が直運営しているもの
- 弁護士法人が運営しているもの
- 民間企業が労働組合と提携しているもの
- 民間企業が単独で運営しているもの
重要ポイント
民間企業が退職代行事業を運営し、労働組合と提携している業者が「労働組合運営」と公式サイトに記載している業者が多いです。「労働組合運営」と、「労働組合提携」はどちらも法的に認められた団体交渉権を持ちますが、ここでは4種類に分類しています。
4種類の退職代行サービスの特徴は以下のとおりです。
運営母体 | 労働組合が直運営 | 弁護士法人が運営 | 労働組合と提携 | 民間企業単独 |
---|---|---|---|---|
安全性 | ||||
確実性 | ||||
交渉権 | ||||
法的対応 | ||||
費用 |
- 労働組合直運営は安心・安全で低価格
- 弁護士法人運営は安心感と確実性が断トツ
- 労働組合提携は優良な業者選びがポイント
- 民間企業の単独運営は選ばないほうが無難
それぞれ解説します。
労働組合直運営は安心・安全で低価格
多くの人におすすめできる退職代行サービスは、労働組合直運営の退職代行です。安全・安心・確実かつ低価格で利用することができるからです。労働組合直運営の退職代行サービスの特徴を以下にまとめました。
- 労働委員会に認証されている労働組合が運営しており、退職代行や退職に関わる交渉などが法的に行える(合法)ため安心して任せることができる
- 退職を認めない会社に対しては違法会社とみなして団体交渉を起こして社会的制裁を加える力を持つ
- 安心、確実かつ弁護士法人運営の退職代行と比べて低価格である
- より安価である民間企業が単独で運営する退職代行業者との価格差は埋まってきている(ほとんど差がない)
- 2万円~3万円程度
- 業者によって差がある
法律にもとづいて運営しており、安全性や確実性、費用面を考慮すると労働組合直運営の退職代行は誰でも利用しやすいと言えます。
弁護士法人運営は安心感と確実性が断トツ
退職代行で最も安心感が高いのは弁護士法人運営です。万が一法律トラブルに巻き込まれた際も法律のプロが対応するため、安全性と確実性が保証されているからです。弁護士にしかない専門知識や立ち回り、社会的信用度の高さにより、トラブルに発展しにくいと言えます。弁護士法人運営の退職代行の特徴は以下のとおりです。
- 弁護士が運営しているため、退職代行手続きが法的に行えるため安心感が非常に高い
- (非常にまれだが)退職した会社からの損害賠償請求などの法律トラブルや裁判沙汰に関しても相談でき、対応してもらえる
- 残業代や未払金、有給消化などの交渉を法的に行える
- 弁護士が対応することで、トラブルに発展しにくく、すんなり退職できる可能性が非常に高い
- 5万円~10万円程度
- その他法的な問題に対処した場合は追加で費用がかかることもある
弁護士が運営し、弁護士が対応するため費用は高めです。法律トラブルに対応でき、安心感が高いというメリットがありますが、実際に退職する際に法律トラブルに巻き込まれることはほぼありません。しかし、法律トラブルに発展しなくても弁護士が対応しているという安心感は高く、「弁護士からの連絡なら仕方がない」とあっさり退職できるケースも多いです。
重要ポイント
「弁護士法人運営」と「弁護士監修」は違います。
弁護士法人運営は、実際に弁護士が退職代行業務を行います。「弁護士監修」と公式サイトに記載している退職代行業者会社がありますが、業務の法律に反していないかを弁護士にチェックしてもらっているという意味合いで、実際に対応しているのは弁護士ではありません。
労働組合提携は優良な業者選びがポイント
労働組合提携の退職代行は、費用を抑えながらも労働組合の団体交渉権を使って有給消化や未払い賃金支払いの交渉が行えます。
一方で、労働組合提携の退職代行業者の数は増加しており、「労働組合運営」と記載しておきながら労働組合の実態が明らかでない業者や、対応が悪い業者も一定数いるため優良な業者選びが重要です。労働組合提携の退職代行の特徴は以下のとおりです。
- 民間企業が通常の退職代行を実施し、交渉が必要な場合には提携している労働組合が団体交渉権を使って交渉を行う
- 知名度が高く、口コミなども充実している業者選びがポイント
- より安価である民間企業単独運営の退職代行との価格差は埋まってきている(ほとんど差がない)
- 2万円~3万円程度
- 業者によって差がある
民間企業の単独運営は選ばない方が無難
民間企業の単独運営は費用は一番安いですが、選択は避けた方が無難です。その理由は、信用度やサービスの質に不安があり、トラブルに巻き込まれる可能性があるからです。民間企業単独運営の退職代行の特徴は以下のとおりです。
- 相談者の退職の意向を代わりに伝えることしかできない(法律上、交渉権がない)
- 労働組合との提携がないため一切の交渉が行えない
- 悪徳業者が存在する可能性がある
- 退職代行の中では一番安価で探すことができる
- 2万円前後
- 中には1万5,000円くらいのところもある
費用の安さが特徴ですが、労働組合直運営や退職代行提携の退職代行と比べて大差ありません。リスクのある民間企業単独運営の退職代行をあえて選択する理由はないでしょう。
退職代行サービスを使うメリット
退職代行サービスは専門家が退職手続きや交渉を代行し、依頼者の心理的負担や精神的ストレスを大きく軽減します。退職代行サービスを利用すると直接対面を避けられ、感情的な対立を回避できるのも特徴です。時間と労力の節約により、退職後の生活や次のキャリアに集中することができます。退職代行サービスを利用するメリットは、以下のとおりです。
- 退職意思を確実に示せる
- 今の職場をすぐに退職できる
- 心理的負担を軽減できる
- 有給消化の交渉ができる
- 退職に必要な手続きの段取りをしてもらえる
退職の意思を確実に示せる
退職意思を確実に伝えるためには、退職届を作成し退職日を明確に指定することが重要です。退職理由の明確な説明も大切です。労働環境の問題や健康上の理由など、具体的な内容を記載して退職の正当性を主張する必要があります。本来、退職の意思を示すには、以下のプロセスがあります。
- 退職届を確実に提出する
- 退職の意思を伝えたという物的証拠が残る。
- 直属の上司や人事部門に退職の意思を伝える
- 組織内で情報が共有される。
- 退職の意思を繰り返し伝える
- 一度伝えただけでは忘れられたり、軽視されたりするので何度も伝える。
- 労働組合や第三者機関に相談する
- 退職が認められない場合、専門家のアドバイスを受けて法律に則った対応をする。
退職代行サービスは、上記のプロセスを全て代行し、あなたの退職をサポートします。
自分では退職の意思をしっかりと伝えて、退職まで話を持っていける自信がないという人にとっては非常に心強く頼りになるサービスです。
今の職場をすぐに退職できる
通常の退職手続きでは時間がかかる場合でも、退職代行サービスを利用すれば以下のメリットがありスムーズです。
- 即日退職が可能になる
- 長引く退職交渉から解放される
- 有給消化や残業代の請求をしてもらえる
- パワハラや嫌がらせのリスクを回避できる
- 精神的ストレスを軽減し、心身の健康を守れる
退職代行では、依頼を受けてから遅くとも翌日には職場に連絡をしてくれるので、すぐに退職することができます。退職手続きや書類作成のサポートも受けられるので、迅速な退職が可能です。さらに、有給消化や未払い残業代請求の交渉も可能なので、自分では主張できない労働者の権利を守ってくれる心強いサービスです。
退職後のキャリアプランニングに集中できるのも大きなメリットです。退職に関する手続きは退職代行サービスに任せられるので、転職活動にも集中できます。
心理的負担を軽減できる
退職代行では、以下の理由から心理的負担を大幅に軽減できます。
- 退職の意思表示や交渉をすべて代行してくれる
- 苦手な上司や同僚に顔を合わせずに退職できる
- 直接引き止めをされないので、退職の意思が揺らぐことがない
- 退職時の言葉選びや態度、引き継ぎに悩む必要がない
- パワハラや感情的な対立を回避できる
- 冷ややかな視線を浴びることがない
特に、人間関係で悩む人にとって、職場の人に顔を合わせず退職できるのは大きなメリットです。退職代行を利用することで、職場の雰囲気や人間関係に左右されることなく、円滑に退職手続きができます。
心理的な負担が軽くなることで、次の職場に向けて前向きな気持ちになれます。
有給消化の交渉ができる
退職代行サービスは、労働者の権利である有給休暇の使用について、あなたの代わりに会社側へ交渉してくれます。労働組合と弁護士は法的に認められた交渉権を持ちます。労働者であるあなたの権利を主張して、退職時に有給消化できるように掛け合うことができます。
例えば、有給休暇が20日余っている場合、退職の申し入れをした日から14日分の有給消化をして、14日後に退職するという方法が取れるように交渉してくれます。
退職の意向を伝えるだけでもハードルが高い人にとって、有給消化の交渉を行ってもらえるのは非常に助かります。
退職に必要な手続きの段取りをしてもらえる
退職代行業者が退職条件の交渉を代行してくれるので、退職後のトラブルも避けられます。退職代行を利用すると、以下のサポートが受けられます。
- 退職日の調整
- 健康保険や年金手続き
- 退職証明書や離職票の取得
- 貸与物の返却方法の段取り
- 引継ぎ等の調整
重要な引継ぎ事項があればメールの送付先をどこにするか、退職後の連絡窓口はどこにするかということも調整してくれるため、退職後に何か問題が発生した場合でも対応できるように準備しておくことができます。
退職代行サービスを使うデメリット
退職代行サービスの利用には、以下のデメリットがあります。
- 費用がかかる
- 勤務先に迷惑がかかる
- 悪徳な業者が存在する
- 悪いウワサが広がる可能性がある
- 職場からの連絡を100%止めることはできない
費用がかかる
退職代行サービスを利用するには、費用がかかります。平均的な費用は2〜5万円程度ですが、金額はサービスの内容や対応範囲によって変動するため注意が必要です。費用が変わるポイントは以下のとおりです。
- 労働組合が対応するかどうか
- 弁護士対応かどうか
- 有給や未払い賃金の交渉を行うかどうか
例えば、退職代行業者が提携している労働組合に一時的に加入する費用として、別途数千円かかることもあります。弁護士対応の場合、未払い賃金の請求を行った際、回収した賃金の一部を成功報酬として弁護士に支払う場合もあります。
いわゆる成功報酬と呼ばれるもので、依頼が成功したお礼として弁護士が受け取れる費用のことです。
費用負担に抵抗を感じる方は多いです。しかし、心身の健康や将来のキャリアを考えると、適切なサービスを選んで利用するのは有効な手段といえます。費用対効果を考慮してサービスを選択しましょう。
勤務先に迷惑がかかる
退職代行サービスを利用すると、勤務先に迷惑をかける可能性があります。例えば、以下のようなものです。
- 突然の退職により業務に支障が出る
- 人員不足が悪化して残された人の負担が増える
- 円満な退職ができない
退職代行サービスを使った退職は、第三者による急で一方的な退職です。ある程度職場に迷惑がかかるということは当然という認識を持つ必要があります。
悪徳な業者が存在する
退職代行業界には悪質な業者も存在し、以下の問題やトラブルが発生する可能性があります。
- 知識不足による不適切なサポート
- 相場を超える高額料金の請求
- 個人情報の不適切な取り扱い
- 違法な退職交渉
民間企業の業者が法律の知識もなく退職代行サービスを行い、結果的に退職に失敗するケースがあります。交渉権を持たない退職代行業者が交渉を行い、トラブルに発展するケースもあります。
悪質な業者に依頼してしまうと、退職手続きが進まないだけでなく、金銭的な損失や個人情報の漏洩などのリスクを負います。
退職代行を利用する時は、信頼できる業者を選ぶことが重要です。実績や評判、社会的な信用、サポート内容などを十分に調査する必要があります。
悪いウワサが広がる可能性がある
退職代行を利用すると、会社との直接的な交渉を避けられますが、人間関係に悪影響を及ぼす恐れがあります。退職代行での退職は一般的な退職方法ではないため、悪いイメージを持たれる可能性があるからです。
引き継ぎや挨拶なしに退職すると、残された同僚の負担が増加し不満が生じやすいです。前職場からの評判が悪くなることで、ウワサが広がり、業界内での評判も下がる可能性もあります。
退職代行を利用する際は、今後の影響も考慮する必要があります。
退職代行は頭おかしい?利用すべき理由と利用する際のコツを解説
職場からの連絡を100%止めることはできない
職場からの連絡を100%止めることはできません。退職代行サービスを利用しても、以下のような重要な連絡があれば直接本人に送られます。
- 退職金の支払い
- 最終給与の支払い
- 社会保険の手続き
退職代行サービスは、退職の手続きをサポートしてくれますが、勤務先からの連絡を完全に断つことはできません。退職後の連絡に関しては、状況に沿った対応が必要です。重要な手続きや、重要な連絡を見逃さないようにしておきましょう。
手続きの連絡は総務課や人事課から来るため、直属の上司や同僚からくることは基本的にありません。
どうしても電話で話したくない場合は、まずはメールで要件を送って貰うように、退職代行業者から職場へ伝えておいてもらうと良いです。
退職代行サービスの使用がおすすめなケース
退職代行の利用は、心身の限界を感じている場合には有効な選択肢の一つです。激務や長時間労働、人間関係の悪化、パワハラなどにより、自ら退職を申し出るのが難しい環境での利用が推奨されます。以下の場合は退職代行の利用を検討しましょう。
- 退職の意思を伝えても辞めさせてもらえない
- 退職の意思を伝えられる状況ではない
- 上司が怖くて退職を言い出せない
- 今すぐにでも退職したい
- 心身ともに限界である
退職の意思を伝えても辞めさせてもらえない
退職の意思を伝えても辞めさせてもらえない状況は、ストレスが溜まる状況になります。特に、人員不足を理由に退職を認めてもらえないケースが多く見られます。すぐに辞めさせてもらえない理由は、以下のとおりです。
- 引き継ぎや後任待ちを要求される
- 退職時期を延期される
- 退職を反対される
- 退職意思を無視される
退職を申し出ると、上司や同僚から責められたり、精神的な圧力をかけられたりする場合もあります。退職届を受理してもらえないケースや、退職の意思を匂わせても無視される場合も、退職代行の利用がおすすめです。
退職を認めない代わりに待遇改善を約束されるケースもありますが、実際に改善される保証はありません。
退職を認めない理由として、就業規則を持ち出される場合もあります。しかし、労働者には退職の自由があるので、就業規則を優先する対応は適切ではありません。
退職の意思を伝えられる状況ではない
職場とのやり取りが精神的な負担となり、退職の意向を伝えるのが難しいと感じる人も多いです。職場での人間関係の問題やハラスメント、上司への恐怖感などが原因です。しかし、退職代行を利用すれば、直接交渉によるストレスを回避し、精神的な負担を軽減できます。
退職を伝えた際に、上司から引き留めや圧力を受けるケースもあり自分で対処するのは困難です。退職代行は、退職の意思を代わりに伝え、交渉のストレスを一切感じることなく円滑に退職を進められます。
上司が怖くて退職を言い出せない
上司が怖くて退職を言い出せない理由には、以下の原因が考えられます。
- 威圧的な態度や暴言
- 批判や人格否定
- 人間関係の悪化
- パワハラや嫌がらせ
怖い上司に退職を申し出ると、報復や不利益を受けるのではないかと考える人もいます。上司の機嫌を損ねるのを恐れたり、罪悪感や申し訳なさを感じたりする可能性もあります。
上司との対面での会話自体に、強いストレスを感じる人も多いです。退職を言い出すタイミングや適切な言い方が分からず、悩むケースもあります。なかなか言い出せず悩んでいる状況では、退職代行サービスの利用が有効です。
今すぐにでも退職したい
心身の健康が著しく損なわれている状況や、パワハラなどの違法行為が続いている環境では、早急な退職が望ましいです。退職代行では専門家が代わりに対応してくれるので、迅速かつスムーズな退職ができます。退職を申し出ることで、不利益な扱いを受ける可能性がある場合でも、退職代行を利用することで自分を守ることができます。
家庭の事情や健康上の理由で急遽退職が必要になった場合も、退職代行はおすすめです。また、転職先が決まっており、すぐに退職しなければならない状況でも、有効活用できます。
心身ともに限界である
心身の健康状態が限界な状況にある場合、仕事を続けるのは危険です。以下の状況にある人は、退職代行サービスを利用して退職手続きを進めましょう。
- パワハラや過度なストレス
- 激務や長時間労働
- 体調不良、精神的な不調
- 修復不可能な人間関係
退職代行サービスを利用すると、自分に代わって退職の意思を勤務先に伝えてくれます。苦手な上司や同僚と直接対面する必要がないので、精神的な負担が軽いです。
心身ともに限界であるなら、退職代行の使用を積極的に検討することをおすすめします。
あなたの仕事は他の人でもできます。しかし、あなたの健康はあなたにしか守れません。
退職代行サービスを使う時の流れ
退職代行を使って、退職するまでの流れを説明します。
相談・申し込み
退職代行の利用を検討している場合、無料相談を活用することをおすすめします。サービスの詳細や料金、退職までの流れなどが確認でき、相談は匿名で行えるので、安心して利用できます。申し込み手順は以下のとおりです。
- オンラインか電話で申し込み
- 退職理由や希望退職日を伝達
- 職場状況や懸念事項を説明
申し込み時には、身分証明書の写真などの提出を求められる場合があります。支払い方法や金額など契約内容をしっかり確認し、同意したうえで申し込みを進めましょう。
情報共有
退職代行を利用する際には、以下の情報を退職代行業者に提供します。
- 個人情報
- 勤務先情報
- 上司の情報
- 雇用関連情報
- 退職希望日と理由
上記の情報は、退職代行業者が勤務先と適切にコミュニケーションを取るために不可欠です。有給休暇の残日数や退職金の有無、貸与物品の返却など、退職に関する細かい事項についても共有しましょう。
料金の支払い
退職代行を利用する際には、料金体系をしっかり確認しましょう。多くの場合、前払い制が採用されています。支払い方法には、以下の方法があります。
- クレジットカード決済
- 銀行振込
- コンビニ決済
中には分割払いや後払いのオプションを提供している業者もあるので、予算に応じて選択しましょう。支払いの際は、領収書の発行と受け取りを忘れずに行ってください。キャンセル・返金ポリシーも事前に確認しましょう。追加料金が発生する可能性がある場合は、条件を必ず確認しましょう。
担当者との打ち合わせ
担当者との打ち合わせは、以下の退職に関する詳細な情報を担当者と共有します。
- 退職理由
- 退職希望日
- 退職に関する不安や懸念事項
- 引き継ぎ業務の有無と内容
- 退職金や有給休暇の取り扱い
- 勤務先への連絡方法と内容
- 退職交渉の進め方
担当者は退職の状況に対し、適切なアドバイスをするために、上記の内容を確認します。大切なのは、気になることはなんでも聞いておくことです。退職後のサポートも重要です。退職金や有給休暇など労働者の権利を適切に使えるよう、担当者がサポートします。
保険や年金などの複雑な手続きも、担当者のアドバイスを受けられるので安心です。退職交渉の進め方についても、依頼主の希望を尊重しつつ、円滑な退職を実現する最適な方法を提案してくれます。交渉が必要な場合は、担当者が適切な戦略を立てるので安心です。
担当者との打ち合わせでは、スムーズに退職手続きを進めるため、しっかり話し合いましょう。
勤務先への代行連絡
担当者が勤務先に電話やメールで連絡を取り、以下の内容を話し合います。
- 退職の意思伝達
- 退職日の調整
- 必要書類の確認
- 引き継ぎの確認
- 各種手続きの確認
退職に関するさまざまな事務手続きや調整を担当者が行うことで、負担を軽減できます。心理的なプレッシャーを感じることなく、スムーズな退職が可能になります。
退職完了の報告
担当者から退職手続きが正式に完了したことの報告を受けとります。退職完了の報告で伝えられる内容は以下のとおりです。
- 退職日
- 最終出勤日
- 社会保険や健康保険の手続き状況
- 退職証明書の発行状況
報告内容に不明点がある場合は、必ず担当者に確認しましょう。退職後の注意事項や今後の連絡方法についても説明を受けられます。
返却物等の手続き
退職完了後は、返却物や書類の受け取り、送付などの事務的なやり取りを行います。主なやり取りは以下のとおりです。
- 退職届の提出
- 健康保険証の返却
- 身分証の返却
- 貸与物やロッカーの鍵の返却
- 源泉徴収票の受け取り
- 離職票の受け取り
受け取る書類は郵送で送ってもらい、返却するものは郵送かゆうパックで送れるように退職代行業者が手配しておいてくれるため、言われたとおりに対応すれば問題はありません。
退職代行サービスのおすすめの選び方
退職代行サービスを選ぶ時に失敗しないためのポイントは以下のとおりです。
- 労働組合または弁護士が対応しているか
- 料金は適正価格か
- 十分に信頼できる業者か
- 対応範囲は自分に合っているか
- サポート体制がしっかりしているか
労働組合または弁護士が対応しているか
労働組合または弁護士が対応している退職代行サービスを選んでください。法的な知識と経験が豊富なので、適切なアドバイスを受けられます。また、労働問題は得意分野のため、退職に関する複雑な状況にも対応できます。労働組合や弁護士が対応するサービスには、以下のメリットがあります。
- 高い信頼性と専門性
- 労働者の権利を最優先に考える姿勢
- 会社側との交渉力の強さ
- 適法かつ円滑な退職プロセスの提供
法律や交渉に強い組織なので安心して利用でき、有利な条件での退職の交渉ができます。法令に基づいてサービスを提供するので、トラブルのない退職をサポートしてくれます。
料金は適正価格か
退職代行サービスを選ぶ際、料金の適正さは重要なポイントです。業界平均と比較して妥当な価格設定か見極めることが重要です。基本料金と追加料金の内訳が、明確に示されているかも確認が必要です。料金体系の確認は、以下を参考にしてください。
- 成功報酬制か固定料金制か
- 分割払いや後払いが可能か
- 料金に見合ったサービス内容か
- 無料相談や返金保証が可能か
- 隠れた費用や追加料金がないか
競合他社と比較して、費用対効果が高いかどうかも考慮してください。料金に関する口コミや評判も参考にしましょう。他のユーザーの声を聞くと、より適切な判断ができます。
十分に信頼できる業者か
退職代行業者が社会的に信用できる業者かを見分けることは非常に大切です。退職代行業者の数は、ここ数年で急増しており、中には専門的な知識や経験もない素人が運営している業者もあります。悪徳な業者と契約してしまった場合、退職できないだけでなく、さまざまなトラブルに巻き込まれるリスクがあります。
信頼できる業者を見分けるコツは以下のとおりです。
- 運営会社の情報が明確に記載されているか
- 公式サイトやSNSで細かい情報公開をしているか
- 客観的な口コミが充実しているか
事業者は、会社の情報を分かりやすくまとめた『特定商取引法に基づく表記』というものを記載しなければいけません。大体は公式サイトの一番下にリンクが設置されています。特定商取引法に基づく表記がない業者は要注意です。
どの公式サイトも、消費者にとって魅力的な言葉やイメージ画像を使ってアピールしています。公式サイト内の口コミが本物かどうかはこちらには分かりません。
Google mapの口コミなど、客観的な情報が充実している業者は、信頼できるための一つの判断材料になります。
対応範囲は自分に合っているか
退職代行サービスの範囲を確認しましょう。退職金や有給休暇の清算交渉を含むサービスなどもあるため、自分に必要な対応範囲の把握が大切です。具体的には以下のサービスが挙げられます。
- 交渉を行うサービス
- 有給消化や、未払い賃金などの請求を行うためには交渉が必要になります。
- メンタルケアや法律相談などのサービス
- メンタルクリニックの紹介や、法的トラブルに巻き込まれた際の対応を行ってもらえます。
- 退職届の作成支援があるサービス
- 退職届のテンプレートが用意されていたり、書き方を教えてもらえます。
- 退職後の転職相談や紹介サービス
- 退職と同時に転職支援を受けることもできます。
退職代行はさまざまなサービスを用意しているので、自分のニーズに合った対応範囲のサービス選びが大切です。
サポート体制がしっかりしているか
サポート体制がしっかりしているかどうかは、退職代行サービスを選ぶうえで重要なポイントです。安心して利用できるサービス選びが大切になります。良いサポート体制の特徴として、以下の点が挙げられます。
- 24時間365日の相談対応
- 専門スタッフによる丁寧な対応
- 複数の連絡手段
- 進捗状況の随時報告
サポートがしっかり整っている退職代行サービスは、ユーザーの声や評判も良好です。しかし、すべての条件を満たすサービスを見つけるのは難しいです。自分にとって重要な項目を優先して選んでください。不安や疑問を感じたときにすぐに相談できる業者が見つかれば、心強い味方になります。
おすすめの退職代行サービスを厳選して紹介
おすすめの退職代行サービスを紹介します。紹介しすぎても選ぶのが大変だと思うので、本当におすすめできるサービスのみを27社から3社に厳選しています。
その他24社をおすすめに入れなかった理由も書いているのでぜひ参考にしてください。
(※会社が退職金や未払い賃金の支払いを拒否し、交渉を行った場合に、回収額の20%請求)
この3社のうちから選択しておけば間違いがありません。数千円の違いで、不安を抱えたりトラブルに巻き込まれるのは本当に割に合いません。
忖度なしで選んでいます。失敗したくない人は上記3社から選ぶことを強くおすすめします。
おすすめの3社について、詳しく知りたい人は以下の記事をお読みください。
退職代行サービスに関するよくある質問
退職代行サービスに関するよくある質問をまとめました。自分に合ったサービスを見つける参考にしてください。
- 退職代行サービスは違法?
- 連絡をしてからどれくらいで辞められる?
- 退職代行サービスを使うと転職先にバレる?
- 退職代行にはどんなトラブルがある?
- 新卒でも使える?
- 公務員でも使える?
- 派遣・アルバイトでも使える?
退職代行サービスは違法?
退職代行サービス自体は違法ではありません。なぜなら、労働者は自由に退職できる権利を持っており、退職の意思表示を第三者に代行させることも法的に認められているからです。
引用:WIKIBOOKS「民法第99条」
- 代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人にその効力を生ずる。(民法第99条1項)
ただし、以下のケースは違法となる可能性があります。
- 弁護士資格を持たない者が報酬を得て、交渉や請求を行う
- 交渉権を持たない退職代行サービスが、会社と交渉する
- 脅迫や強要など、他の法律に違反する行為を行う
違法になるのは、あくまで上記の違反行為を行った退職代行業者ですが、トラブルが起こった時に巻き込まれるリスクがあるため、違法業者を選ばないように注意が必要です。
退職代行業者が法律に違反しない範囲で業務を行う限り、退職代行サービスは合法です。
連絡をしてからどれくらいで辞められる?
退職代行サービスを利用すれば、即日で会社を辞められる可能性はあります。しかし、必ずしも保証されているわけではありません。即日退職の実現性は、会社の規定や状況によって大きく異なります。
退職代行サービスのメリットは、会社との交渉を代行してくれることです。専門家の交渉により即日退職の可能性が高まりますが、確実に即日退職できるわけではありません。
即日退職が難しい場合、退職代行サービスは最短での退職日で交渉します。退職代行サービスを利用する際は、即日退職について、事前に十分な確認が必要です。
ほとんどの退職代行サービスは無料で相談できるので、まずは聞いてみることをおすすめします。
退職代行サービスを使うと転職先にバレる?
退職代行サービスを利用しても、通常は転職先にバレません。退職代行業者は依頼者のプライバシーを守る義務があるため、転職先とのやり取りはしないからです。
退職時の書類や手続きも通常通り行われるので、転職先にバレる心配はありません。退職代行サービスの利用自体は違法ではないため、転職に不利になることはありません。
退職代行サービスは、あくまでも円滑な退職をサポートするためのサービスです。転職活動に悪影響を与えません。
バレる可能性があるとすれば、元の職場からのウワサです。ウワサは防ぎようがないため、ある程度の覚悟は必要です。
退職代行にはどんなトラブルがある?
退職代行にまつわるトラブルを完全になくすことはできません。可能性のあるトラブルは以下のとおりです。
- 退職したつもりが、退職の扱いになっていなかった
- 有給消化できなかった
- 会社の人からの電話や訪問があった
- 懲戒解雇になった
- 損害賠償請求される
- 途中で業者と連絡が取れなくなった
- 追加料金を請求された
- 違法業者に依頼してしまい、退職できなかった
- 退職できなかったのに返金されなかった
退職には、規則や法律が関係するため、専門的な知識や経験がないと正しい立ち振る舞いができません。弁護士や労働組合が対応している信頼できる業者でなければ上記のトラブルに巻き込まれる可能性があります。
例えば、会社から懲戒解雇(クビ)にすると言われたり、損害賠償請求すると言われたとします。弁護士や労働組合は労働問題に関する専門家なので、正しい立ち振る舞いができますが、民間の誰が運営しているかも分からない業者では対処できません。
始めから信頼できる退職代行業者に依頼しておけば、退職代行にまつわるトラブルを回避して安全で確実に退職することができます。
新卒でも使える?
新卒でも退職代行を使って退職することができます。新卒でもベテランでも、同じ会社に雇用されている労働者なので、自由に退職する権利が認められています。
新卒の人は立場が弱くなりがちなので、常に退職を申し出る後ろめたさがあります。また、新卒の弱い立場を利用して退職の申し出を一切受け入れないという事態が起こります。
労働者の権利を主張しにくい立場にいる新卒の人の間でも、退職代行を利用するニーズが高まっています。
公務員でも使える?
公務員の場合は、弁護士が運営する退職代行に依頼しましょう。公務員の雇用契約は民法に基づくものではなく、国家/地方公務員法に基づく任命権者の命令により職務にあたります。要するに、お互いに契約を結んで働くのではなく、自治体の長(知事や市長など)の命令によって仕事をしているということです。
民法のように、退職の申し入れをいつでも行って良く、2週間後に辞められるという決まりは国家/地方公務員法にはありません。公務員が退職するためには、自分の自治体のトップの許可が必要です。
民法の決まりの中で成立しているのが一般的な退職代行なので、公務員の退職代行については基本的に民間企業や労働組合の退職代行はお手上げです。公務員の人で退職代行を検討している場合は、国家/地方公務員法にも詳しい法律のプロである弁護士の退職代行に依頼しましょう。
派遣・アルバイトでも使える?
派遣・アルバイトでも退職代行は使えます。退職代行について考える場合、有期雇用と無期雇用について考える必要があります。
正社員は基本的に無期雇用です。つまり、特別な理由がない限り定年まで雇用契約が続きます。一方で、派遣やアルバイトは有期雇用です。半年、1年などの期間で雇用契約を結び、必要ならその度に契約の更新をします。
有期雇用の場合は、働き始めて1年を超えた場合は、無期雇用と同じく、いつでも退職を申し出ることができます。しかし、1年未満の場合は、「やむを得ない理由」がある場合のみとされています。
やむを得ない理由については人それぞれですが、会社を納得させることさえできれば退職できます。ちゃんとした退職代行ならこのことをよく理解しているため、派遣やアルバイトでもスムーズに退職することが可能です。
まとめ
退職できずに悩む人にとって、退職代行は心強い味方です。過酷な労働環境や人間関係の問題に悩む人が、心理的な負担なくスムーズに退職できるように支援してくれる素晴らしいサービスです。一方で、費用がかかることや、悪質な業者も存在するというデメリットもあるため、業者選びは慎重に行う必要があります。
有給消化や未払い賃金の交渉を行いたい場合や、複雑な問題を抱えている場合など、状況に応じてどの退職代行を利用するか選択しましょう。
最後に伝えたいことは、あなたの仕事はあなた以外でもできるということです。しかし、あなたの健康やあなたの今後の素晴らしい人生は、あなたにしか変えることはできません。
自分の心身の健康と将来のキャリアを第一に考えた判断をして欲しいと思っています。