- 公務員試験の試験科目ごとの特徴は?
- 試験科目ごとの内容や難易度、勉強、対策方法は?
- 勉強や対策を進める上でのコツやポイントは?
公務員試験には様々な試験科目があり、その組み合わせも自治体によって異なります。
手当たり次第、試験科目の参考書を購入して勉強しても効率的な勉強や対策を進めることができません。結果的に、いくら時間や労力を費やしても確実な合格からは遠ざかってしまいます。
公務員試験では、試験の内容や難易度、勉強や対策方法について事前にしっかりと把握しておくことが合格への近道です。
私は7年間看護師としてフルで働きながらでも公務員試験に一発合格することができました。その経験から、公務員試験の試験科目ごとの特徴について詳しく解説します。
この記事を読むことで、行政保健師を目指す人が公務員試験の対策する上で知っておくべき試験科目ごとの特徴や傾向が分かり、合格に必要な知識を身に付けることができます。
公務員試験は一次試験と二次試験で構成される
公務員試験の試験内容は、自治体により様々ですが、例として以下の表のような構成をとります。
試験内容/自治体例 | A | B | C | D | E | ||||
一次試験 | 教養試験 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
基礎能力検査(SPI) | |||||||||
専門試験 | |||||||||
小論文 | |||||||||
二次試験 | 面接① | ||||||||
面接② | |||||||||
グループワーク等 | |||||||||
適性検査 |
(※小論文に関しては、一次試験の時に解答し、二次試験の得点として採点する自治体が多いです)
一次試験と二次試験は大きく分けると目的が異なります。
- 一次試験では主に学力試験が行われる
- 二次試験では主に面接などの人物評価が行われる
一次試験では主に学力試験が行われる
一次試験では以下のような試験科目を受験します。
- 教養試験
- SPI試験
- 専門試験
- 小論文
基本的にマークシート方式をとることが多く、試験会場で一斉に試験が開始されます。小論文は二次試験の得点として使われることが多いですが、一次試験で回答することがほとんどです。
会場に集まったついでに小論文を受けるというイメージです。
特別区では一次試験の得点と二次試験の得点で最終の合否判定を行います。
一方、その他の自治体では一次試験の得点は最終的な合否判定には使用されないことが多いです。そのため、一次試験は足切り的な試験とも言えます。
二次試験では主に面接などの人物評価が行われる
二次試験の特徴は以下のとおりです。
- 一次試験の合格者のみが受験する
- 一次試験の合格発表後に日程や会場の案内がある
- 面接やグループワーク、適性検査による人物評価がメイン
公務員試験は特に人物重視の試験とも言われており、最終的な合否判定は二次試験の得点のみで行われるという自治体が多いです。
一次試験の得点が上位でも二次試験の得点により不合格になることがあります。
全体を通しての難易度は?
正しい対策方法をとり、勉強時間を確保すれば合格すること自体は難関というわけではありません。しかし、2011年度~2020年度における倍率は3倍~7倍程度であることから決して簡単な試験ではありません。
また、募集人員が「若干名」と記載されていることが多く、基本的に「数名」しか採用されないため合格への門は狭いと言えます。
例年なら合格できる受験者も、優秀な受験者が多い年だと合格できないことがあります。
教養試験は範囲が広いため多くの勉強が必要
教養試験は出題範囲が非常に広いため、勉強には多くの時間と労力が必要になります。
- 出題科目は5科目20分野以上もある
- すべての分野を勉強するのは不可能
- 出題の多い分野に絞って勉強する
出題科目は5科目20分野以上もある
教養試験の出題科目は以下のとおりです。
教養試験はこの20以上の分野から網羅的に出題されます。学生の時に全ての分野を履修した人はいないと思います。また、履修した科目でもほとんど覚えていない人が多いと思います。結局、一から学び直す必要があるため非常に骨の折れる作業です。
すべての分野を勉強するのは不可能
出題される分野の数が非常に多いため、すべての分野を網羅的に勉強することは不可能だと思ってください。逆にすべての勉強が中途半端になり、合格から遠ざかってしまいます。
すべての分野を勉強している合格者はいないと思ってください。
出題の多い分野に絞って勉強する
教養試験では、出題の多い分野と出題がほとんどない分野の差が大きいです。出題の多い分野を重点的に勉強すれば合格できるのが教養試験の特徴です。
重要度の高さを取捨選択できる力も見ていると個人的に思っています。
合格者は皆、勉強する範囲を絞って効率的に対策をしています。
SPI試験は情報処理のスピードと正確さを測る試験
SPI試験は基礎能力検査とも呼ばれ、一般企業などにも採用されている試験の一種です。以下の図を見てください。
SPI試験は数十種類ある適性検査の中で最もシェアの高い試験です。『能力検査』は文章問題や計算問題などの筆記試験で、『性格検査』は心理テストのようなものです。
一次試験で課されるSPI試験とは、『能力検査』のSPI試験になります。
- SPI試験は言語分野と非言語分野に分かれる
- 解ける問題だけ短時間で解く訓練をする
SPI試験は言語分野と非言語分野に分かれる
SPI試験は言語分野と非言語分野に分かれて出題されます。
- 言語分野=国語力を問う
- 熟語の意味や語句の用法、長文読解などが出題される。
- 非言語分野=数学力を問う
- 推論、図表の読み取り、割合の計算、確率などが出題される。
解ける問題だけ短時間で解く訓練をする
SPI試験は制限時間がかなり厳しく、1問あたり数秒から数分で解く必要があります。
試験当日、いくら考えても解けない問題に直面することがありますが、『解けない問題は解かない』という判断が非常に重要です。対策を行う中で、『すぐに解ける問題』と『解くには時間がかかる問題』に瞬時に振り分ける訓練が必要です。
SPI試験は対策不要という声もありますが、絶対に対策は必要です。
専門試験は国家試験よりやや難しい
専門試験については、教養試験やSPI試験のように公務員試験に特化した参考書は探しても見つかりません。
体感としては国家試験の問題に加えて+αの知識が問われる試験だと感じました。
- 基本は国家試験の勉強と同じ
- 時事的な問題や知識を問う問題も出題される
基本は国家試験の勉強と同じ
基本的な勉強は国家試験と同様の勉強で問題ありません。
ほとんどの人が「クエスチョンバンク(QB)」、「レビューブック」、「公衆衛生がみえる」等で勉強を進めることになるでしょう。最低基準は保健師の国家試験に問題なく合格できるレベルです。
クエスチョンバンクの問題の8割以上は正答できるようにしておきましょう。
時事的な問題や知識を問う問題も出題される
専門試験では国家試験で出題される問題に加え、以下のような問題も出題されやすいです。
- 時事的な問題(近年で言えば梅毒やMpoxなど)
- 公衆衛生上で重要な位置づけの感染症
- 定期接種のワクチン
知識を問う問題は、知っていないと解けないのでしっかり対策しておくことが重要です。
小論文は論理的な文章を書く訓練が必要
小論文の本質は「論理的な文章で相手を納得させる」ことです。
個人の感想文ではなく、構成や論理を押さえた文章を書く必要があります。最初から論理的な文章を書くことは誰でも難しいですが、訓練を重ねることで誰でも論理的な文章は書けるようになります。
- 自分の書き方の構成を身に付ける
- 時事ネタや社会問題を把握する
自分の書き方の構成を身に付ける
小論文は出題テーマに沿い、自分で構成を考えて文章を書きます。文章の構成に絶対的なものはありませんが、人それぞれ論理的な文章が書きやすい構成があります。
毎日お風呂に入る時に身体を洗う順番が決まっているのと同じように、自分の書き方の構成を身に付けて毎回同じように構成を組み立てて文章を書くことが小論文対策におけるポイントです。
時事ネタや社会問題を把握する
小論文で出題されるテーマは様々です。
多くは話題になっている社会問題について取り上げられます。こういったテーマを日頃から良く調べ、考える習慣があれば別ですが、ほとんどの人はそのような習慣がないと思います。
小論文で出題されそうなテーマについては自ら学習して知識として蓄えておくことが大切です。
面接は質問の意図を理解することが重要
面接は公務員試験でも民間の会社でもポイントは変わりません。
限られた時間の中で面接官が何を知りたいのか、質問の意図は何なのか、どう答えたら採用して貰えそうかを常に考えることが重要です。
- 仕事に生かせることは何かを伝える
- 回答例をあらかじめ用意しておく
仕事に生かせることは何かを伝える
面接では、当然ですがこれまでの経歴をベースに質問されます。
面接官は受験生の人生経験や人生史を知りたい訳ではありません。これまでの経歴から公務員としての仕事にどう生かせるか、周囲との人間関係にどう生かせるかということを短い時間の中で知ろうとしています。
面接官の質問の意図を把握した上で臨む面接と、ただ聞かれたことに答える面接とでは面接官の満足度に大きな差が生まれます。
相手の立場に立って回答することを心がけましょう。
回答例をあらかじめ用意しておく
面接では、会話の流れの中で質問されることがほとんどですが、全員が確実に聞かれる質問もあります。
例えば、志望動機や頑張ってきたことなどです。また、一般の企業と同じように受験申込の際には履歴書を送ることが基本なので、履歴書の内容に沿って質問されることが通常です。
じっくり考えれば自分の言葉で伝えられる内容でも、面接の場で瞬時にかつスムーズな受け答えをすることは思っている以上に難しいことです。
「当日のノリで何とかなる」と思わず、自分の中で質問に対する回答例は必ず用意しておかなければいけません。
適性検査は冷静に回答すればOK
『適性検査』という言葉は、本来『能力検査』と『性格検査』の総称ですが、公務員試験で用いられる『適性検査』という試験科目は『性格検査』のことを指します。
性格検査は、受験生の思考パターンや思考の偏り、物事の捉え方、協調性、常識からの過度な逸脱性などをみる重要な検査です。
絶対的な正解があるものではないので基本的には正直に回答すれば問題ありません。ただし、一点注意すべきことがあります。それは、極端な質問があるということです。
例えば、「私は嘘をついたことがない」や、「私は不意に人を傷つけたくなる」といった質問です。嘘をついたことがないと言い切る受験生は信用できませんし、人を傷つけたくなる受験生を採用しようとは思わないはずです。
このように、回答によっては極端にマイナスになる質問もあるため、質問の意図を汲んで冷静に回答するようにしましょう。
まとめ
公務員試験の科目ごとの要点は以下のとおりです。
- 一次試験は基礎学力の評価を行う
- 二次試験は人物像の評価を行う
- 難易度は高くはないが、狭き門と言える
- 教養試験は出題範囲が非常に広いため、分野を絞って対策する
- SPIは制限時間との戦いなので対策は必須
- 専門試験は国家試験勉強+αで行う
- 小論文は論理的な構成を身に付けて自分のものにする
- 面接は質問の意図を考えながら回答例を用意する
- 適性検査は冷静に正直に答えればOK
公務員試験は科目数が非常に多いです。それぞれの科目の特徴を把握した上で効率的に対策を行うことが合格への近道です。