- 病院を退職する場合、退職金とボーナスは貰えるの?
- 退職後の退職金とボーナスの貰い方は?
- どちらも貰って退職できる時期やタイミングは?
- 様々な手続き上でもおすすめな時期はある?
病院を退職する際は様々な公的な手続きや準備が必要になります。手続きが煩雑になりがちなので、いつ病院を退職するのがベストなのか迷う人も多いと思います。
また、退職時期によって、行う手続きや貰えるお金などが変わります。自分にとって最適な時期に退職しないと、場合によっては手続きが増える、貰えるべきお金が貰えないなど、後悔することもあります。
この記事では、退職時期によって行う手続きの違いや、退職金やボーナスなどの貰えるお金について詳しく解説します。この記事を読めば、看護師が病院を退職するのに最適な退職時期やタイミングが分かるようになります。
なるべくお得なタイミングで退職しましょう!
看護師が病院を退職する時の法的な原則について
会社員の雇用契約は民法により定められています。そのため、退職はいつでも申し入れることができ、その2週間後に雇用契約を終了することができます。
出典:WIKIBOOKS「民法第627条」
看護師も「病院」という「会社」に雇用されている立場ですので、公務員や派遣社員などの特殊な例を除いて民法による雇用契約を結んでいます。
つまり、「辞めます」と言った日から2週間後に誰でも退職できます。
…と言うのは簡単ですが、病院も人手不足の中で経営を考えながら人材確保を行わなければならないので、人材の出入りを考慮して計画的に採用計画を立てたいのは事実です。
病院側が想定している退職の時期やタイミングについて
病院の看護師の人材募集は以下のような方法で行います。
- 病院ホームページへの掲載
- 転職サイトへの掲載
- 看護師人材サイトへの登録
- ハローワークへの登録
病院により差はありますが、毎年9月頃に師長と個別面談があります。この時、退職するという看護師がいれば、不足人員として翌年度採用の人員を調整しています。
多くの病院は就業規則において『退職の申し出は6か月以上前に行うこと。』とされています。「辞めるなら6か月以上前の今教えてね。」という時期に面談をするという訳です。
この場合、ほとんどの看護師が年度末である3月末日付けでの退職となります。なぜなら年度途中で退職者が出ると欠員が出るからです。年度途中は、まとまった人数の採用が出来ないため、人の出入りは年度の切り替えと同時に行った方が効率が良いです。
以上が、病院が想定している看護師の退職における正規ルートです。想定外の退職の申し出は病院側も引き止めを行ってくることもあります。
なるべく欠員を出したくないので病院側は3月末まで在職して貰いたいわけです。
病院を退職する時期やタイミングに迷ったら
病院の規則通りに円満退職したい場合や、次の仕事が4月からなので3月末までは働いていたいという場合は、就業規則通りに退職した方が無難です。
しかし、年度の途中で退職したいというケースもあります。
年度の途中で退職する場合、退職する時期やタイミングによって手続きや金銭的な面で差が生じることがあります。できるだけ手間なくお得に退職したいというのは当然のことです。
以下に、手続きや金銭的にお得に退職するためのポイントを4つ挙げます。
- 賞与(ボーナス)を貰ってから辞める
- 年末調整は職場でやって貰う
- 有給が使えるなら付与された後に辞める
- 月末時点で無職だと保険料と年金の会社折半がない
賞与(ボーナス)を貰ってから辞める
ボーナスは働く人たちにとって、モチベーションを維持する超重要なイベントです。
ボーナスには以下のような特徴があります。
- 月々の給与とは別に会社が勤勉手当、期末手当として支給するご褒美
- 支給額、支給回数、時期は会社が決める
- ボーナスを支払わなければいけない法律はない
- 一般的には6月12月の年2回付与されることが多い
もし年度末以外に退職をするのであれば、絶対にボーナスを貰ってから辞めた方が良いです。
6か月に一回ボーナスが支給される場合、それは6か月間仕事を頑張った対価として月々の給与とは別に支給されるご褒美なので、貰わないのは単純に損です。
6月がボーナス支給月だけど、どうしても5月に辞めたい。ボーナスは貰えないのかな?
この場合、貰える可能性はあります。ボーナスは会社が独自に支給するものなので、支給の要件については職員の就業規則に明記されています。
就業規則によっては「賞与の支給月の前一か月まで在職していた者に対して支給する」としている病院もあります。この場合、下の画像のとおり、本来の支給月の一か月前に辞めたとしてもボーナスは貰えることになります。
ボーナスの支給については、全ては就業規則通りです。職場の就業規則を確認の上、退職日を設定することで、貰えるはずだったボーナスが数日の違いで貰えなかったなんていうことがないようにしましょう。
年末調整は職場でやって貰う
毎年12月か1月の給与は年末調整により、払いすぎた所得税が返還されていつもより支給額が多くなります。
年末調整で所得税が返還される仕組みは以下のようなものです。
- 所得税は毎月の給料から概算で天引きされている
- 1月から12月の所得が確定して、ようやく本来の所得税が確定する
- さまざまな控除により、天引きされた所得税よりも実際の所得税の方が安くなる
- 差額が戻ってくる
得した気分になりますが、実際は払いすぎた分のお金が返ってきているということです。
この計算は、さまざまな控除を含めた複雑な計算により算出されます。病院の総務部の人達が年末になると一生懸命計算をしてくれています。
しかし、原則12月31日時点で病院に在職していなければ病院は年末調整をしてくれません。
例えば、12月31日時点で次の職場に在職していれば新しい職場で年末調整をしてくれます。しかし、次の仕事が始まるまでに空白期間があり、12月31日時点で無職であった場合は年末調整をしてくれる人がいません。
払いすぎた所得税が返ってこないのは困るし、民間保険や住宅ローンなどの控除は無駄になるの?
職場で年末調整ができない場合、自身で最寄りの税務署へ行き確定申告を行うことで、払いすぎた所得税が返ってきます。しかし自ら税務署で確定申告をするのは面倒で結構大変です。
年末調整は職場でやってもらう方が安心で確実です。確定申告に不安を感じている方は12月31日時点でどこかの職場に在職しているように調整することをおすすめします。
有給が使えるなら付与された後に辞める
有給は付与された後に辞めた方が良いです。付与された分の有給消化ができれば儲けものです。(そこまでさせて貰える病院はなかなか珍しいですが…)
例えば、1月20日に退職したい場合の話をします。
11月末時点での残りの有給日数が3日だったとします。毎年12月に有給が付与される場合、12月になると残りの有給日数が3日+20日=23日になります。つまり1月20日までに23日の有給が消化できることになります。
退職までに有給消化を考えている方は、残りの有給日数と新たな有給付与日を確認してから退職日を決定しましょう。
月末時点で無職だと保険料と年金の会社折半がない
通常の病院に勤務している看護師は被用者保険と厚生年金に加入している方がほとんどです。これらの保険料は毎月病院が折半で支払ってくれており、残りの半分が給料から天引きされています。
実は思っている以上に高額の保険料の半分を支払ってくれています。
次の職場に入職するまでに空白期間が空く場合、月末時点で無職であった場合は国民健康保険の保険料を支払わなければいけません。国民健康保険料は職場の保険料折半がないので、割高になりやすいです。
月末時点で職場に在職さえしていれば病院は保険料を折半で支払ってくれます。
被用者保険料と厚生年金保険料について詳しく知りたい方はこちら
退職金は支給要件を満たしていればちゃんと貰える
退職金の支給はボーナスの支給と同様に、会社が独自に就業規則で定めています。
よって退職金の支給要件を満たしていれば、どのタイミングで退職しても退職金を貰うことができます。就業規則に記載された退職金の支給要件を満たしているのに退職金を支払わないのは違法行為になります。
退職金を貰うための特別な申請は不要です。退職後しばらくして退職した職場から振り込み明細が郵送されるとともに給与口座に振り込まれるので安心して大丈夫です。
私の場合は退職後一か月くらいして紙の明細票が届き、口座に振り込まれていました。
思い通りに退職できず悩んでいる看護師の方へ
思い通りに退職できなくて悩んでいるという看護師も多いです。
自信が退職したい時期と、病院が提示する退職時期が一致せず退職できない場合もあります。また、退職自体を認めてもらえずに困っている人も多いのがこの業界です。
円満退職するには、双方が納得する形で退職するのがベストです。しかし、どうしても退職の申し入れを受け入れてくれず退職の話が進まなかったり、自分で退職を言い出せないくらい精神的に追い詰められているような人は退職代行業者の利用を検討してもよいでしょう。
退職代行とは、相談者に代わって職場に退職の意向を伝えて確実に退職できるサービスです。退職代行については以下の記事で詳しく解説しているので気になる方は読んでみてください。
まとめ
退職するタイミングを決めるには、病院の都合と自分の都合を考慮して総合的に判断する必要があります。円満に退職することも大切ですが、自身の負担や金銭面的な損得をしっかり考えることも大切です。
病院の都合を優先した場合
年度末の3月末退職ということになるので、少なくとも6か月以上前(病院の就業規則によって差があります)に退職する旨を師長に伝えましょう。
この場合のメリットは何と言ってもスムーズに円満退職できるということです。周囲も退職することが分かっていますし、欠員も生じませんので大きなトラブルには発展しないでしょう。
一方、タイミングによっては面倒な手続きが発生したり、貰えるお金が貰えないという事態が起こるので注意が必要です。
自分の都合を優先した場合
病院の都合で退職日を決定した場合、手続きや金銭的にみて損をする可能性があります。以下の点に注意して、自身にとって最適な時期に退職日を設定するようにしましょう。
- <ボーナスについて>
ボーナスが支給される要件を就業規則で確認をして、ボーナスの支給日が近ければ可能な限りボーナスを貰ってから退職しましょう - <年末調整について>
確定申告をするのが面倒で、職場でやってもらいたいという方は12月31日時点でどこかの職場に在職しているように調整をしましょう - <有給消化について>
付与された有休が消化できる職場であれば、有休が付与される日より後に退職日を設定して出来るだけ多くの有給が消化できるようにしましょう - <被用者保険料・厚生年金保険料について>
一か月分でも多く被用者保険の折半をして貰い、厚生年金保険に加入していたい場合は月末時点で今の職場に在職しているか、次の(被用者保険と厚生年金へ加入している)職場)へ入職しましょう